養老孟司さんの「いちばん大事なこと」を少しずつ読み始めた.冒頭から非常に共感できる.この人も「本音で語る人」なのだけど,決して嫌味な印象を受けたことがない.自己反省的な語り方が好きだ.本書は,いわば,養老版「環境論」なわけだけど,
人間の体は自然に属している.「自然」とは意識がつくらなかった世界である.
という養老思想が大前提にある.また,現代人がすぐに抱く単純な因果関係を批判している.例えば,抗生物質と結核の関係など,「ああすれば,こうなる」という単純な相関関係で表すことはできないと.
あるいは,利己的な遺伝子の著者ドーキンスに対する批判にも共感できる.遺伝子という「情報」と細胞という「システム」を区別できていないと.この話は,やはり個体の恒常性の問題につながっていくのではないだろうか.
- 作者: 養老孟司
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2003/11/14
- メディア: 新書
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