スティーヴ・ヴァイ

今も現役でバリバリ活動しているギタリスト,スティーヴ・ヴァイは,かつてフランク・ザッパのバンドでギターを弾いていた.スティーヴ・ヴァイの曲を聴けば,ザッパ由来と思われるフレーズや展開が垣間見られる.師匠と弟子の関係であると言えばそうなのだが,この二人がそれぞれに見ているものは,対照的だったりする.ザッパのベクトルは,「社会」,すなわち外向きであったのに対して,ヴァイは,「心」,すわなち自分の内面に向かっていると思われる.それは,この二人の曲やその歌詞を読めば,一目瞭然である.ヴァイの眼は,「この人には僕らには見えない何かが見えている」と思わせるような,深く澄んだ落ち着いた眼をしている.曲作りをする時も,数日断食してから,レコーディングに挑むこともあったらしい.かといって,ロック・ミュージシャン特有の不健康さは一切感じられない.試合前のボクサーや,修行中の僧侶のように,不必要なものは,捨てきってしまったタイトな容姿である.このように心身ともに追い詰めるタイプのミュージシャンであるがために,近寄りがたい雰囲気も持たれがちだが,実は,非常に紳士な人で,ライヴでは,お茶目な一面も見られる.そんな彼の一番ストイックだったと思われる時期のアルバム2枚を紹介する.やっぱり,スティーヴ・ヴァイはかっこいいよな.

Passion & Warfare

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Sex & Religion

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