応動昆から記念行事特集の冊子が送られてきました.本誌の後半ではパネルディスカッションで議論された内容の要約が書かれています.2つ目の記事の「総合的害虫管理」の問題点についての議論は非常に自分の研究に関係があります.
IPMに対する批判として
・IPMの戦略的アプローチがまだ不十分であること
・生態学的アプローチが生産現場で有効な技術につながっていないこと
解決すべき問題点
→生態系の解明が必須であるが,それを支える分類学がきわめて貧弱.
→生物的防除資材開発にあたっては,害虫に対する作用機構の解明とともに基礎的研究段階から実用化を念頭に置いた研究が必要.
生物的防除資材企業化に関する問題点としては,
生産コストが高い,複数企業参入による過当競争が生じる,収益性が低いことが挙げられています.
また,IPMにおける農薬の位置づけの研究も必要であると述べられています.世界的には農業企業は遺伝子技術応用にシフトしているため,今後新規農薬の開発は多くを望めないと.したがって既存農薬の効率的利用のための研究をはからなければならないとのことです.
(日本応用動物昆虫学会創立50周年記念行事特集 (2006.6月)p191より引用)
http://odokon.org/event.php