十七歳の地図 / 尾崎 豊

十七歳の地図
★曲目
1. 街の風景
2. はじまりさえ歌えない
3. I LOVE YOU
4. ハイスクールRock’n’ Roll
5. 15の夜
6. 十七歳の地図
7. 愛の消えた街
8. OH MY LITTLE GIRL
9. 傷つけた人々へ
10. 僕が僕であるために
NHKで、「尾崎豊がいた夏〜知られざる19歳の素顔」を見ました。ちょうど、先週あたりに、尾崎豊の2nd〜ラストアルバム、「回帰線」(1985年)、「壊れた扉から」(1985年)、「街路樹」(1988年)、「誕生」(1990年)、「放熱への証」(1992年)を一通り聴いていたところだったので、やたら反応してしまいました。2nd移行も名曲はあるものの、やはり1stの「十七歳の地図」は脅威の完成度だと改めて感じました。
尾崎は、自分にとっては、「決してBGMとしては聴けないアーティスト」です。一人でヘッドフォンで聴きたい曲ばかりです。なぜか、尾崎の歌声(メッセージ)を聴くと、尾崎が影響を受けたミュージシャンはだれだとか、音程がどうだとか、ロックがどうだとか、バックの演奏がどうだとか、そういう音楽的な話はどうでもよくなってしまいます。「尾崎豊」を他に探してみても、決して見つからないということが、肌で感じられます。この強いインプレッションは、尾崎が、ミュージシャンとして、”音を巧みに操っている”というフィクションではなく、がむしゃらに現実にぶつかり、自分を曝け出しているというリアリティなんだと思います。
You Tubeで、ライヴの様子はよく見ています。あの眼が印象的ですね。同世代の若者に強いメッセージをぶつけている反面、その瞳は、遥か彼方を見つめているように見えます。どれだけもがいても、自分は自由になれないんだと悟ってしまった焦燥感と、現状に甘んじてはいけないんだという自分を追いたてる気持ちが入り混じったような歌い様。
黒夢清春も一時期、インタビューで、「弱さを認める強さを表現したい」と語っていました。しかし、尾崎のリアリティは、どのミュージシャンも及ばないような気がします。もしかすれば、自分が英語圏で育ったなら、ジョン・レノンの歌う「Love is real, real is love,」が身にしみてわかったのかもしれませんが、やはり母国語の壁はありますね。
自分が聴いている音楽の中では、確かに、尾崎の占める割合は非常に小さいし、ファンではないし、誰かと悦びを共有したいといった感情はどういうわけか出てきません。しかし、「十七歳の地図」に入っている楽曲は、決してiPodからは外せないし、”どうしても聴きたい”といった衝動を感じるときがあります。なんとなく、色んなことに慣れてしまって「大人」になってしまう自分を感じたとき、尾崎を聴いている(しまう)ような気もします。ただ、やはり自分の中で完結してしまう感情の流れです。


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