黄色く色付いた御堂筋の銀杏並木に懐かしさを感じました。今日は土曜日でしたが、堺筋本町で開催されている繊維技術の基礎知識の講義を聴講しました。
繊維の分野は、衣食住の一つだけあって、人とのかかわりは原始の時代からであり、産業としても非常に長い歴史があります。ただし、現在、先進国各国では行き詰まっているというのも現実であり、合成繊維では、現在中国が世界生産量の半分を占めており、次いで台湾、インド、韓国の合計が20%程度です。先進国の中で、衣料分野で唯一黒字なのはイタリアだけだそうです(ただし、これは最近の金融危機以前の話)。講師の人いわく、色に対するセンスが根本的に違うそうです。しかし、日本は機能性に関しては高度な技術を有しており、今後生き残りのためには、この特徴を活かしてゆくしかないという意見もありました。逆に、皮肉かな、イタリアの人が興味を示すような日本の衣料技術は、伝統的な織物や着物で、芸者さんやお坊さんが身にまとう衣服でみられる紗(しゃ)や絽(ろ)といった織り方であるとか、葛を原料とした葛布などだそうです。
今回の講義で、自分の手元にある”モノ”が、どういうった要求特性(ニーズ)に応えるために、どこの何を原料にして作られて、どういう工程・技術を経て、どういう形で市場のせられたか、そして最後はなぜ自分が買ったかのかなど、その複雑な過程の一端が少し見えたような気がしました。
「ナンバーワン」にしろ、「オンリーワン」にしろ、こういった売り文句は、まさに、市場社会の中で成り立つ概念であるのだと思いました。他とは違った”モノ”を考え出す、生み出すといった行為は、非常に苦難の道なのですが、先人たちはそれをやってきたのですから、人類はある意味すごいと思います。
一方で、これは今回の講義とはまったく関係ないですが、「オンリーワン」を、”ヒト”に求めない方がいいじゃないかとも思います。最近の色んな事件のニュースを見て、個人的にはそう思っています。