メンデルスゾーン「エリア」/ 京都シティーフィル合唱団

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京都シティーフィル合唱団 創立50周年記念 第34回演奏会
★指揮/明石好中、独唱/日下部祐子(S1)、浦田恵子(s2)、福原寿美枝(A1)、溝渕悠里(A2)、北村敏則(T1)、山本康寛(T2)、萩原次己(B1)、五島真澄(B2)、Org/堀江光一 管弦楽関西フィルハーモニー管弦楽団
★演奏曲:F.メンデルスゾーン オラトリオ「エリア」作品70
★場所:京都コンサートホール


★京都シティーフィル合唱団の創立50周年記念演奏会でした。
オラトリオ「エリア」は、ユダヤ教からプロテスタントへ改宗した音楽家メンデルスゾーンの晩年の作品です。
ちなみに、オラトリオというのは、宗教的音楽劇の呼称で、元来は祈祷・説教・聖書の朗読・宗教曲の歌唱からなる宗教的修養を行う習慣から始まったとされます。オペラと類似していますが、演技はなく、大道具、小道具、衣装などは用いません。
基本は聖書を題材としていますが、ラストのパートでの、新しい出来事の予感、すなわちキリストの出現を期待させるかのように話が受け継がれているところから、メンデルスゾーンの信仰心を伺うことができました。
アハブ王の妃イゼベルによる「そそのかし」のシーンでの民衆の意志は移ろい易さは、今も昔も変らないのだなぁと、色々と考えさせられました。
第25曲「Du Mann Gottes, laß meine Rede...(神の人よ、わが言葉をおんみの前に導くものとみなしたまえ…)」のチェロの伴奏に導かれ消沈したエリアの心情をバスのアリアが歌い上げる部分は個人的には一番印象に残りました。その流れの中にあるアンコールでも演奏された第29曲「Siehe, der Hüter Israels schläft noch schlummert nicht...(みよ、イスラエルを守りたもうは…)」 の合唱もまた素晴らしいです。
ルネサンス期の絵画、彫刻、建物、あるいはバッハから流れる西洋音楽の潮流を見ると、やはりむこうの「神」は、こっちの「神」とはかなり違ったものなのではないかと思えてきます。むこうが、ある意味では「他者」、「普遍性」と言い換えることができるのに対して、こっちは、ともすると、「世間」なのかもしれません。「世間」は度々転覆し、普遍性のないもののように思えます。


Nr.42 「Alsdann wird eure Licht hervorbrechen...(かくて御身の光暁の如くあらわれいで…)」 合唱