第7回 医療・社会・環境研究会

阪大豊中キャンパスまで研究会に参加してきました。自分も含め9人の談話会型式だったので、少し緊張しました。科学史、経済史、日本史をバックグラウンドとして持つ教授、博士の方や、現在、公衆衛生、疫病について研究されている博士課程の方がおられました。


わが戦友(?)である道下さんの「日本の民家庭園における植物資源の維持と歴史性」の発表も、博論をベースに新たにデータも追加され、考察部分もより深みが増していました。


民家庭園という、人と自然が関わりあう現場では、どんな有用植物があるかに着目してみると、いろいろなものが見えてくるのだと感じました。そこには、人が何をよいとしているか、人が何を美しいとしているか、そういった行為や美意識には何が影響しているのかと考えてみると、きりがないかもしれませんが大変面白いですね。


瀬戸口さんの『害虫の誕生』合評会では、どの方の論点も核心をついたものばかりで、本の読み方としてかなり刺激的なものでした。


懇親会では、かなり打ち解けた感じで、教授レベルの方々と、こんな距離で、かつこんなに気さくに話せるなんて思っていなかっただけに、とても新鮮で楽しかったです。


やはり、自分はまがりなりにも害虫を研究し、現在も農薬について研究しているため、色々と現場のことを聞かれました。IPMやIBMの考え方はまだまだ農家には浸透していないことを実感しており、IPMといいつつも、化学農薬への依存度が高いことを伝えました。そもそも技術思想というものは、どのようにして社会に伝播していくのか、何か一般論はないものかと気になりました。


倫理学について思っていることも述べてみました。現代の日本では、例えば、マザー・テレサのような人はでてくるのだろうか。よき行為をそれ自体としてよいものとして肯定するような社会なんだろうか。人間関係が希薄で、個人は孤立しているのではないだろうか。そういう感想を述べました。徳倫理の復権はあるのでしょうか。やはり、世の中は功利主義が一番うまくいくのでしょうか・・・ この辺はまだまだ考察していきたいところです。