深い河 / 遠藤周作(1993年)

深い河 (講談社文庫)


★それぞれ違った境遇の日本人5人が、インドへの旅行を決意し、ツアーに参加します。5人はそれぞれに複雑な心の闇を抱えていましたが、ガンジス川を目の前にし、何かを感じます。
遠藤周作の総決算とも言える晩年の作品です。この作品は、宗教の深い部分に触れようとしているように思いました。一神教キリスト教という、狭い意味での宗教ではなく、人間にとっての広い意味での宗教(信仰)とはなんだろうかと問いかけられているようです。論理では解決できないような、心のひだに触れる描き方がなされています。哲学や神学の記述の方法では表現できないものがここにあるように思いました。