獄中の天才ピアニスト21歳のジョニーと、ピアノ教師トラウデ・クリューガーの魂のぶつかり合いを描いた映画。教師トラウデとジョニーの関係性は、箱庭療法をするカウンセラーとクライアントのような関係にみえました。ジョニーは感情のすべてをアグレッシヴにピアノにぶつけている。その様子をトラウデは見つめながらも、ときおり、質問をしたりするが、こういうピアニストになりなさいと模範例を示すわけではありません。クライアントは自分の問題や悩みを言葉ですべてを表現できないからこそ、ピアノだけでなく、周りの人間、その辺のモノにあたる。その矛先を、少しだけピアノに向けさせて、一瞬でも、自己療養のような形になればという、クリューガーなりの祈りのようなものがあったのかもと思いました。
