Music: IN THE LIFE / B'z (1991)

 
 
 
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全作詞: 稲葉浩志、全作曲: 松本孝弘、全編曲: 松本孝弘明石昌夫
# タイトル 時間
1. 「Wonderful Opportunity」 4:36
2. 「TONIGHT(Is The Night)」 4:51
3. 「快楽の部屋」 4:52
4. 「憂いのGYPSY」 6:39
5. 「Crazy Rendezvous」 4:21
6. 「もう一度キスしたかった」 4:37
7. 「WILD LIFE」 4:28
8. 「それでも君には戻れない」 4:42
9. 「あいかわらずなボクら」 1:41
10. 「ALONE」 6:20
合計時間:47:07

カーステレオでは、なんとなくB'zを流していることが多いです。昔のアルバムも今聴いてもすごくいいなぁと思います。3rdの『Break Through』(1990)の打ち込みのダンスビートに松本さんのエレキがギャインギャイン攻めていく感じは、当時としてはかなり斬新だったと思いますし、アナログや生音が多くなった現在の音楽シーンでは、なかなかみられないスタイルです。マイケル・ジャクソンあたりのアメリカのロックの影響でしょうか。

『IN THE LIFE』は、1991年11月発表で、アルバムタイトルの「LIFE」は、「人生」ではなく「生活」を意味しているとのことです。前作(といっても前年の11月発表)『RISKY』が、ベクトルが外向きだったのに対して、『IN THE LIFE』は内省的で日常の素の姿を描いた曲が多いです。RISKYが、「夢」、「交際前」、「かけひき」、「恋愛初期」、「ロマンス」、「挑戦」、「冒険」、「享楽」、「デジタル」とするなら、『IN THE LIFE』は、「現実」、「交際中」、「倦怠期」、「失恋」、「独り身」、「別離」、「思い出」、「ノスタルジー」、「アナログ」といったキーワードを思わせる内容の歌詞が多いです。「In ”My” Life」とせずに、「In ”The” Life」にしたのは、色んな人の生活を歌うという思いからでしょうか。当時、27歳の稲葉浩志さんが、ここまで深い歌詞を書くというのは本当にすごいことですね。きっと映画を見ても小説を読んでも、客観的視点と主観的視点のバランスを崩さずに自分のものにすることができるんでしょう。

ただ、7曲目の「Wild Life」だけアルバムの中で作風が違うなといつも思うのです。

本アルバム制作過程の終盤に制作された曲。
松本はこの曲について「稲葉の作詞が行き詰まり、声の調子も悪くなって、稲葉が一番苦労した曲」と語っている。
レコーディングはライブメンバーによる一発録りとなっており、松本も稲葉もそれに手ごたえを感じたという。稲葉はそれに触発され作詞を行った。
歌詞のなかに「ブロンコ・ビリー」が登場しており、「人生は一度しかない」というフレーズも同映画に登場するセリフ。(Wikipedia

 

 とあり、やはり少し違うスタイルで制作されたのがわかりました。稲葉さんは映画や小説からインスピレーションを得て歌詞を書くこともあるらしく、『RISKY』の「HOT FASHION -流行過多-」では、「ランボオ」と、フランスの耽美主義の詩人アルチュール・ランボーが出てくるなど、文学青年の一面もあります。

RISKYといえば、9曲目の「FRIDAY MIDNIGHT BLUE」が個人的にお気に入りで、歌詞は、稲葉がたまたま乗り合わせたタクシードライバーから聞いた話を元に作られたということらしいです。歌詞のこの部分に喩え方が絶妙です。

現実を乗車拒否できないのが辛いところ
乗られてもできるだけ口聞かないようにしてるよ

それにしても、タクシドライバーから愚痴を聴けるというのは、心理学者の河合隼雄さんを思わせる「聞き上手」ですね。夏目漱石の『草枕』からインスピレーション得たのかなと個人的には考えています。

骨太で超絶技巧の松本さんのエレキギターに対して、稲葉さんの歌詞は、繊細で、ナイーブ、時に女々しさすら感じさせます。きっとこの対比がいいんでしょう。

 

 

 
 
 
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