寄生バチはエイリアン

lalakoora2005-04-24

実験材料の毎日の変化に驚かされるのは,”生き物”を扱っているものの特権だろうか,それとも試練だろうか.毎日寄生バチの寄主であるセセリの幼虫を飼育しているわけだが,ある時は,脱皮直前でほとんど餌を食べていなかったり,ある時は蛹化直前のガットパージで糞を沢山出している時もある.そして僕が一番嬉しいのは,寄生バチが寄主幼虫から脱出してきた時だ.多くのチョウ好きの人たちは,折角育てた虫から寄生者が出て来る(しかも蛹化直前に)と,残念な気持ちになるらしい.しかも,寄主の内部に寄生する寄生バチや寄生バエは,映画のエイリアンが人から脱出する時と同じようにえげつなく見えるようだ.しかし,僕は一度もえげつないと思ったことがない.なぜなら,多寄生性の寄生バチの場合,一斉に,しかも寄生バチ自身は寄主の体液や組織にまぎれてしまわずに綺麗に出てきているのだ.このメカニズムは素晴らしい.こういったメカニズムは進化の結果であるのだと考えると,自然は素晴らしいと思える.僕が上手にコーヒーを入れるようになることとはまったく次元が異なる.