野外で植物を観察した場合でも,昆虫を観察した場合でも,それぞれがまったく違うものでありながら,それでもどこか似ていると,直感的に思うことがある.
野草を見たときでも,キクの花の形に似ているなとか,葉っぱを見て,イネの葉に似ているなと感じる.この「違う」ことと「似ている」ことの矛盾をつなげる思考は,分類学と呼ばれる.
「生物学は分類学にはじまり,分類学に終わる」と言われるように,分類学では,生物をわけるために,それぞれに名前をつける,次に,名前がつけられたもの同士の相違点と類似点を吟味しつつ,グループにまとめていく.そうしてできたグループに名前をつけ,またそのグループ同士の相違点,類似点を探して,グループのグループを構築していく.
だから,こういった博物学的な地道な作業は,アインシュタインが相対性理論を考え出して,科学の技術が一気に発展するというのとは,異なっている.
生態学の発展が,物理学など他の分野に比べて少し時間がかかる理由の一つとして,こういった事情があるからだと言われることもある.
しかし,そういった科学の発展云々の話から離れると,野外で様々な動植物が存在しているということは,何者にも代えがたいことではないかと思う.
- 作者: 平野隆久,菱山忠三郎,畔上能力,西田尚道
- 出版社/メーカー: 山と溪谷社
- 発売日: 1989/08/01
- メディア: 単行本
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