失われた時を求めて

マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」は,ベルクソンの時間論からインスピレーションを得て書かれたと言われる.この作品は大著で,実際僕は読んだことがないが,”一杯の紅茶とマドレーヌから,主人公コンブレーの全記憶が飛び出してくる”というくだりを聞くだけで,ベルクソン的だなぁと思ってしまう.
僕は,「音楽を純粋に聴く」ということがありえない性質だ.何をいいたいかといえば,一度聴いたことのある曲を,再度(二回目以降)聴く場合,初めて聴いたときの経験がよみがえるような気がする.冷凍保存されていた記憶が一気に溶け出してくるような気がする.初めてその音楽を聴いたときの心理状態,年齢,考えていたこと,人間関係,季節,風景,気候などが蘇ってくる.時間が再び流れ出す.
ちょうど今,トム・マクレーの音楽を聴いている.これは,大学4回生の時の今頃に買った記憶がある.少し寒い日に買った.音楽自体もマイナー調のものだったから,なおさらインパクトがあった.

生への癒し

生への癒し