(兵庫県姫路市香寺町)里山ガーデン

里山」と聞くと、薪割りをして、炭を焼いて、山菜採りをしてという昔ながらの生活を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、里山放置林が増える理由は、時代の流れとともに、人と自然との関わり方が大きく変化したからです。そもそも里山とは人が生活の燃料である薪木を取るために、維持・管理してきた人工的な自然環境なのです。よって、放っておくと、植生の遷移が進み、限られた樹木種だけの単純な樹林になってしまいます。それは、生物多様性保全、地域固有の郷土景観の維持、自然学習の場、レクリエーションの場、土砂災害の発生の防止の観点から、好ましくない状態を意味します。


といっても、いまさら昔ながらの生活に戻すというのは、現実的ではありません。かといって、このまま里山の放棄が進めば、野生動物と人間社会の、いわば緩衝地帯の役割を担ってきた環境がなくなり、ますます人と自然との関わりは不自然なものになりかねません。イノシシ、シカ、クマといった野生のほ乳類が住宅地に出没する頻度が増加する可能性があります。


最近、各地で新しい関わり方の模索が行われています。ここ姫ヶ丘北西部の「里山ガーデン」は、人と里山との関わり方の新しいやり方を提案する場として注目できます。特徴として挙げられるのは、


1.地域住民の子どもの遊び場として環境の整備をすすめてきたこと。
2.子どもにとってよい遊び場にしたことで、彼らの親へのアピールへとつなげていったこと。
3.大人の関心を集めたことで、地域の小学校との交流がうまれ、自治体、ボランティアなどの協力が得られるようになったこと。


子どもが、ある程度自由に、かつ安心・安全に遊べる環境に整備した上で、大人たちへのアピールへとつなげていった点が、成功の秘訣と考えられます。ちなみに、この辺りは今までクマの出没はないので、そういった危険性はほぼありません。


里山の整備は、2006年よりはじめられ、散策路や遊具が設置しています。2011年からは、兵庫県立大学の学生が、地元小学校の児童と共にツリーハウスの作製を行っています。その他、さまざまな団体がイベントを開催しています。


大学生と子どもたちの共同作品であるツリーハウスです。



ピザ焼き窯です。