特定郵便局の真実ー日本最古にして最大のネットワーク / 原田透編著(2004年)

特定郵便局の真実―日本最古にして最大のネットワーク


★本書は、2004年発行なので、日本郵政公社発足から1年後に発行されたものです。


編著である原田透は郵政民営化の絶対反対論者ではないと断った上で、民営化を唱える人たちはどこまで実態を把握しているのだろうかと強い疑問を抱き、取材を進めました。


諸悪の根源として取りざたされた特定郵便局。しかし当時、悪い面だけがマスコミなどによって強調されたというのも事実です。全国の郵便局の4分の3が特定郵便局であり、過疎地や地盤沈下などによる不況にあえぐ地方に散在しているのも特定郵便局です。


本書では、多くの郵便局長たちは地域への貢献を第一義として、真剣に郵便局経営に取り組んでいる事例が紹介されています。いくつかの局では、特定郵便局長地域活性化の推進力、自治体のサポート役として1年365日地域社会と密接な関わりを持っていることがわかります。地域における貢献活動は、以下のように、営業領域を拡大するとか充実するといった次元以前の問題として、少子・高齢化、地方への責任・権限移行の加速が進む地域社会において、住民の高い信頼を得てきた郵便局長の役割は重且つ大であることがわかります。


1.地域根拠としての郵便局
・ワンストップサービスに代表される地域行政のアクセスポイントと行政への協力
・地域ボランティア活動
・地域住民の交流の場としての拠点


2.地域経済活動における郵便局
・ふるさと小包に代表される、地場産業・産品の開発・育成
・地域公共団体への郵便局資金の直接融資


3.地域における安心の拠点としての支援
自治体の在宅福祉サービス支援
・地域の社会問題解決・解消への協力・支援
・災害対策への協力
・地域青少年育成活動への協力