「人というのは,だれであろうと,どんな環境にあろうと,成長の過程においてそれぞれ自我を傷つけられ,損なわれていくもの...」という件について,筆者もまったく同意見である。一般的には,子どもを傷つけ,損 ない得るものを取り除こうとし,疑うことなくそれが良いことだと信じられている。しかし,本当にそうだろうか。もちろん,今日の命まで奪いかねない,子どもの虐待やいじめの問題を考えると,軽々には言えないことは承知しているが,疑問に思う。取り除こうとすればするほど,まるで吸い寄せられるかのように,人はそこに向かうように見えてならない。村上は言う。