環境先進国として挙げられる国のひとつにドイツがあります。環境教育の分野でも、政府、地方自治体、学校教育での取り組みの事例がよく紹介されます。
ただ、いくつか誤解が広まっているのも事実です。その一つが、「ドイツは、風力や太陽光では実際は電力を賄えておらず、特に夏場はフランスから足りない電気を輸入している」という指摘です。
ドイツのエネルギー転換 10のQ&Aという報告書のQ3で回答されています。
Q: ドイツは脱原発といいながら、近隣諸国から原発や石炭火力の電力を輸入しているのでは?
A: いいえ違います。ドイツは2003年以来、近隣諸国に対して電力の純輸出国です。2015年には、電力輸出が過去最大になりました。自然エネルギーは、福島の原発事故後の原子力発電の停止分を、十二分に補ってきました。
脱原発にもかかわらず、ドイツは電力の純輸出国であり、自然エネルギーが福島の原発事故後の 原発停止分を、十二分に埋め合わせをしていることがデータで示されています。では、なぜ、こういった誤解が広まっているのでしょう?おそらく物理的な電力の流れだけを見ているからでしょう。一旦、ドイツを経由してスイスやイタリアに流れているためそのような判断になったのかもしれません。
独仏間の物理的な電力の流れだけを見ると、フランスからドイツに電力が流れ込んでいるため、ドイツがフランスから電力を輸入していると決め付けてしまいかねません。しかし実際は、このような電力の流れの多くは、フランスからドイツを通過して、最終的にはスイスやイタリアに向かっています。よって、独仏間の物理的な電力の流れだけをみて、ドイツがフランスから電力を輸入していると判断を下すのは誤りです。