本書の特徴
・マハーバーラタという長大な物語を4部構成とし、主筋・挿話に分け、わかりやすく解説している。
・神話のモチーフの読み解き、他地域の神話(ギリシア、日本など)との類似点や相違点など、知識の幅を広げるきっかけが多数あること。
・英雄たちの系図、登場人物一覧、索引など附録が充実していること。
インドの古典関係の書籍・解説書は数多あり、どれも読み応えのあるものばかりです。私が選ぶ基準にしているのは、大学の研究者かどうかというところです。上村勝彦氏の「バガヴァット・ギーター」をはじめ、文献研究の位置付けがしっかりなされているほうが、解説書を読んでいて、知識の幅が横に広がるように思うからです。位置付けというのは、過去の研究者の論文もしっかり研究されているという意味です。学者と素人の違うところはその辺にあるように思います。その意見がオリジナルなのか、それとも過去に誰かが示唆している仮説なのか、その辺を曖昧にされると、読んでいてもなんだか不安で頭に入らないのです。
本書のいいところは、神話のモチーフの読み解き、他地域の神話(ギリシア、日本など)との類似点や相違点が挙げられているところです。ギリシア神話や日本書紀といった神話に少しでも興味あるなら、とても面白く読めると思いました。