Books: 基礎からはじめるインド占星術入門 / 本多信明(2010)

 

 インド占星術は、インド固有の27シャクトラ(月の星宿)とギリシア古典占星術が長い時間かけて融合してできたものです。スピリチュアルなイメージはありますが、非常に具体的かつ現実的な指摘をします。地球の自転軸の向きが変わるため、約2000年前と黄道十二星座黄道十二宮は一致しなくなっています。そのため、一般に言われる、誕生日と星座の関係は、本来の星座とはズレています。

ちなみに、自分は蟹座ラグナで、ナクシャトラはアシュレーシャになるそうです。本書を参考にしながら、自己分析してみました。蟹座ラグナの有名人は、現在の天皇陛下徳仁天皇)や、古くはガウタマ・シッダールタがおられるそうです。(比較の対象が、自分とはかけ離れすぎておりますが)

惑星配置・品位・強度・アスペクト

太陽(2室支配/3室在住)強度40% 9室をアスペクト

月(1室支配・1室定座)強度60% 7室をアスペクト

火星(10室と5室支配/1室在住減衰)強度25% 7・4・8室をアスペクト

水星(12室と3室支配/3室在住)強度55% 9室をアスペクト

木星(10室と6室支配/2室在住)強度65% 8・6・10室をアスペクト

金星(11室と4室支配/3室在住減衰)強度35% 9室をアスペクト

土星(7室と8室支配/2室在住)強度55% 8・4・11室をアスペクト

ラーフ(2室在住)強度75%

ケートゥ(8室在住)強度65%

 

精神性と生活スタイル

社会性(外面):太陽が3室在住(乙女座・水星支配)。「地」の星座、かつ水星が支配星であるので、保守的で、現実的で、秩序を重んじ、非常に几帳面で健康志向。計画的に仕事をし、非常に知的で有能な人が多い。完全主義者で、中途半端を嫌い、すべてに対し、正しいことにこだわる傾向が強い。その結果、時々神経質で、気難しく、他人に対し批判的であったり、要求が多かったりする。勉強家、読書家が多く、精神的なものにも重きをおく。強い精神力や根性といったものはあまり持っておらず、一度傷つくと思い悩みやすい。一方で、月と火星がコンビネーションを組むチャンドラマンガラ・ヨガが示される点に注目すると、これは富をもたらすヨガであるが、手段を選ばぬ実行力や強引さを持つことに裏打ちされる。火星減衰かつラージャヨガの配置により裏目には出ないと考えられる。

家庭(内面):自分・性格・身体・生まれた環境の1室(蟹座・月支配)に月が在住。蟹座は「水」の星座であり、母と心を示す。感情的で、情緒的、感傷的。蟹座は、同情心に厚く、家庭や仲間を愛する母なる星座であるが、一方で残酷な一面を持つ。むしろ母なる星座が故に、仲間を守る時は攻撃的になる。卵を守る甲羅とはさみは、防衛本能を示す。気を許さない人間に対しては攻撃的、またはぎこちないが、気を許した相手には打ち解け、非常に親切となる一面を持つ。攻撃をされた、傷つけられたと感じると、その相手に対しては残酷になる傾向がある。蟹座は「活動」の星座であり、変化に富む月が示すように、感情の変化が激しく、陽気になったり、落ち込んだりと、感情の起伏が大きい。月が可動星座にあるため、この傾向は強くなる。また、記憶力・想像力にも優れ、伝統、歴史と芸術と宗教的なものを好む。緑樹と水の場所を好む。貯蓄がうまく、あまり浪費はしない傾向。

父・師・巡礼・宗教・長距離移動の9室魚座土星支配)の象意に、霊的、神秘家、哲学がある。霊性の国インドに縁があるのはこの影響も考えられる。

 

教育面

努力・訓練の3室(乙女座・水星支配)に、太陽・水星(高揚)・金星(減衰)在住。

高等教育の5室(蠍座・火星支配)には、在住星なし。1室火星在住、5室と10室火星支配より、ラージャ・ヨガを示し、社会的成功や社会的地位の確立をもたらす。

水星の良い影響により、コミュニケーションと論理性・分析能力があり、特に、後者は乙女座で顕著になる。

 

健康面

健康・病気の6室(いて座・木星支配)。木星アスペクト

蟹座(月)は胸と胃を司る。敏感で、精神的に強くないので、特に胃は蟹座ラグナの人にとって最も感度が高く、注意とケアが必要。

 

財産・財務面

財産2室(獅子座・太陽支配)に木星土星・ラーフ在住。収入の11室(牡牛座・金星支配)より。遺産の8室(水瓶座土星支配)。

蟹座ラグナより、貯蓄がうまく、あまり浪費はしない傾向がある。中年期より収入が増える。

 

家族面

生まれた家族・家庭の2室(獅子座・太陽支配)

結婚後の家庭8室(水瓶座土星支配)

誰よりも増して自分の家族を愛する。インテリアすべてが特別であることを望む。家を飾るのに時間を費やす。家族が問題なく幸せになることを望む。ゲストをもてなすことに尽力する。

 

芸術・趣味面

自分の1室(蟹座・月支配)に月定座。その象意は、大衆性、人気、女性、旅行、昆虫、園芸、海産植物、海、川、湖など。

趣味の3室(乙女座・水星支配)に太陽・水星・金星在住より、水星の象意として、言葉、文筆、数学、占星術、数学、緑など。乙女座の象意として、真面目、実務的、合理的など。

金星減衰により、華やかさ、異性へのアピール、派手さ、スター性は強く出ないかも。

性格の1室に定座月と減衰火星の同居により、外向きではなく、内なる激しさを秘めることも。大衆的かつ激しいという意味で、ロック、ヘヴィメタル

 

恋愛・結婚面

恋愛・結婚の7室(山羊座土星支配)に月と火星がアスペクト

水星が乙女座在住(3室・水星支配)で高揚。恋愛や異性にのめりこむことが難しくなり、恋愛運が悪くなることも。しかも、在住の金星が減衰している。

 

職業面

天職・天命の10室(牡羊座・火星支配)、競争の6室(いて座・木星支配)、富の貯蓄の2室(獅子座・太陽支配)

蟹座ラグナより。仕事は有能な人が多い。医療系の職業は最も適した職業。それは以外にもコンピュータ関連、会計、ジャーナリズム、印刷、出版関連。現実的、実際的、的確なアプローチを必要とする分野で活躍できる。よく稼ぎ、計画的に使い、節約する。

3室(乙女座・水星支配)に水星(高揚)・太陽在住。水星の象意味であるコミュニケーションと論理性の発展概念として、言葉、数学、学業、商業、会計、事務員、貿易、文筆、出版などの象意が出る。水星が良い状態で、太陽と同居すると、非常に賢くする。3室なら著作家に向く。

8室(水瓶座土星支配)にケートゥ在住。ケートゥの象意として、外国人、アートマン、禁欲主義、ウパニシャッド哲学、数学、最新技術、プログラミングなどがある。水瓶座の象意に、広報、エンターテイメント、映画関連、旅行産業、管理職、科学者、研究家、建設会社、エンジニア、宗教家、ボランティアなどがある。

6室木星支配、9室木星支配より、木星は師匠を意味する。また6室は闘争や裏切りの室でもある。このことより、悪い師匠(上司、先輩や同僚)との出会いによる試練がある一方で、母方の伯父・伯母から手解きを受けることありうるし、真の師匠(9室木星)との出会いによる祝福もあると読み取れる。

 

1. 自分自身・自我・身体・生まれた環境の1室(蟹座・月支配):月と火星が在住。月は定座、火星は減衰。月は心、母、妻を象意する。親しみやすさ、大衆性、興味関心が移ろいやすいので旅行や変化を好む。月の象意:園芸、海産物、水。火星の減衰により、闘争心や対人関係が、柔和になる。ただし、うちに秘めた情熱や攻撃性は残るかも。ラージャヨガカラカ(1・5・10室火星)により、社会的成功や社会的地位の確立を示す。月と火星がコンビネーションを組むチャンドラマンガラ・ヨガ(投機的成功のヨガ)は富をもたらすことを示す。

2. 財産・家族の2室(獅子座・太陽支配):木星土星・ラーフがコンジャンクション(同居)する。支配星は弱い凶星の太陽。木星とラーフのコンビネーションにより、吉星要素が強まる可能性もあり。木星の象意として、グル、幸運、財産、名誉、宗教、高等教育、子どもがある。土星の象意として、忍耐、疾病、奉仕がある。ラーフの象意として、外国人、科学、専門技術がある。木星土星のダブルトランジットにより、よき家庭環境に恵まれることも。

3. 努力・訓練の3室(乙女座・水星支配):水星が高揚していることから、コミュニケーション能力と論理性に良い意味で関係する。努力によって克服する試練として働くウパチャヤに在住することから、訓練次第で自分の技能になる。太陽が在住することから、エゴやプライドが強められるかも。その反面同居する金星がコンバスト(太陽により、焦がされる)し、かつ減衰していることから、華やかさは失われるかも。水星の象意が強まり、言葉、商業、貿易、文筆、数学、緑など強まる。一方、金星が弱まり、スター性、恋愛・結婚、モテ度などが弱められるかも。3室は弟・妹の室でもある。

4. 母・家・生活の土台・車の4室(天秤座・金星支配)に、火星と土星アスペクト。火星は、争いを象意する。土星は、忍耐・奉仕を象意する。

5. 創造・高等教育の5室(蠍座・火星支配)。在住星なし。1室・5室・10室火星はラージャヨガ。5室は、幼・青年期においては教育を意味し、成人・中年期には子供を意味し、壮年期以降は精神的な鍛錬(修行)を意味する。蠍座の支配星火星は、研究、化学関係が象意する。大学院の論文執筆に集中し、成果をあげたり、会社の研究室でよい結果が出たりも。ラージャヨガより、社会的成功も。

6. 争い・競争・試験の6室(いて座・木星支配)。在住星なし。木星アスペクト。5で主張した意見に問題があればここで意見のぶつかりあいが生じる。6室は、母方の伯父・伯母も象意。木星は、師匠を象意することから、母方の伯父・伯母から手解きを受けることも。

7. 恋愛・結婚の7室(山羊座土星支配)。月と火星がアスペクト。月は妻、女性、快適さ、園芸、水、白を象意する。火星は、争いを象意する。支配星の土星から、結婚ではやや不利な状況も。

8. 苦悩・研究の8室(水瓶座土星支配):ケートゥが在住。支配星は凶星の土星。家族・財産の2室から木星土星・ラーフがアスペクト、1室から火星がアスペクト。ケートゥや土星の8室在住は精神性にとって悪くないとされる。木星土星のダブルトランジットは、両惑星の良い影響が相乗効果をもたらし、物事の達成、実現に向けて大きく働きかける力を持つようになる。火星は減衰かつラージャヨーガで良い影響として現れると考えられる。

9. 父・師・孫・宗教の9室(魚座木星支配):在住星なし。3室から太陽・水星・金星がアスペクト。9室は、父、グル、幸運、高度な知識、巡礼、外国、神やグルへの献身を象意する。魚座の行動力により、ロマンやスピリテュアリティを求めて、海外旅行へ行くことも。

10. 天命・天職の10室(牡羊座・火星支配)在住星なし。木星アスペクト。1室・5室・10室火星はラージャヨガ。この室は、天命、社会的使命、専門職、社会的行動を象意する。ラージャヨガより、社会的成功・社会的地位の確立も。

11. 収入・利益・成功・願望成就の11室(牡牛座・金星支配):在住星なし。土星アスペクト土星は機能的吉星となり、試練はあるものの、よき結果も。父方の叔父・叔母も象意。

12. 消費・損失・出家・死の12室(双子座・水星支配):在住星なし。アスペクトもなし。