TV: 「ヒトラーに傾倒した男〜A級戦犯・大島浩の告白〜」

ヒトラーに傾倒した男〜A級戦犯大島浩の告白〜」
ナチス・ドイツに最も食い込んだ日本人”元駐ドイツ大使・大島浩。12時間に及ぶ初公開の肉声テープ。太平洋戦争のキーパーソンが語る戦時外交の舞台裏とは。

ナチス・ドイツに最も食い込んだ日本人”と言われ、戦後A級戦犯として終身刑の判決を受けた元駐ドイツ大使・大島浩終戦後、公の場に姿を現すことなく沈黙を守り続けた男の貴重な肉声テープが残されていた。ヒトラーとの蜜月、日独伊三国同盟の舞台裏、国をミスリードしたことへの反省などを赤裸々に語っている。初公開となる証言テープを専門家とともに分析、太平洋戦争のキーパーソン・大島浩の実像と現代への教訓に迫る。(NHK

 時期的に、戦争に関する番組が多いです。ドイツ関連のものはなぜか観てしまいます。いつも思うのが、「自己陶酔しやすい人」「のめりこみやすい人」ってどんな人なんだろうということです。逆に、「人を陶酔させるのがうまい人」というのもいるのかもしれません。
大島は、当時、対ロシアで苦戦するドイツ軍の状況を優勢にあると間違ったあるいは偏った情報を日本側に伝えていました。それは、「ドイツ人がロシア人に負けるはずがない」という根拠のない自信と期待を持っていたからだとされます。ドイツ語に堪能で当時のドイツに最も精通していた優秀な男。しかし、「劣勢になった際に、引くに引けない」「負けを認められない」という心理が働いたのかもしれません。外交は苦手と本人も語っていたそうです。しかし、欧州での実際の戦況を周辺国に駐在する日本人大使らが伝えることが義務ではないかと指摘すると、そういった情報を日本側に流さないようにと、大島は情報を統制したとも言われます。
「勝てば官軍負ければ賊軍」という見方もできます。誰が正しい悪いというのもありますが、大島だけに全責任を負わせてしまった当時の政府の責任もあるでしょう。当時の日本政府の上層部の欧米に対する劣等感が見抜かれ、日清日露での戦勝に自己陶酔する態度が上手く利用されたのかもしれません。自己陶酔するのは自由だとしても、それに巻き込まれた人々が一番かわいそうです。