Movie: Blade Runner 2049(2017)

 

 

Blade Runner 2049」がCSでやっていたので観ました。

そこで描かれる世界ではエコシステム(自然)が壊滅的打撃(太陽光が地上に届かず、大気汚染や放射能汚染が地球全体を覆っている)を受けているために、生物は昆虫一匹と言えども法によって厳重に保護されており、木の破片ですら、貴金属のように貴重な材質として扱われています。人類は地球外に生息圏求め、外の惑星を植民地化しています。

一方で科学技術が発達し、本物そっくりの機械仕掛けの生物(アンドロイド)が存在しています。地球外の惑星の植民地化の労働力として使われるのが、アンドロイドです。アンドロイドには感情と記憶があり、自分自身ですら自分が機械であることを認識できないものもいます。他者への共感の度合いを測定するテスト「フォークト=カンプフ感情移入度測定法」により、基本ラインを逸脱していないかどうか、毎日検査を受け、組織に監視されています。共感や感情が強まると、異常とみなされ、休養を取るように要請を受けます。

哲学に興味を持った時に、SF映画にも興味を持ちました。「Blade Runner」「Total Recall」「Minority Report」は、アメリカのフィリップ・K・ディックSF小説をもとに映画化されたものです。作風としては、「現実」と「非現実」の境界線が曖昧になるところ(現実世界の脆弱さ)、生物と無生物の境界線(生命の定義)、個人のアイデンティティが記憶によるところが大きい点(記憶や意識の重要性)、個人は組織の一部にすぎず、言動はすべて監視され、未来の行動まで操られている点(監視社会)などが挙げられます。

その意味では、SFの枠組みを超えて、脳科学やAIなど最新のコンピューターサイエンスの分野でも扱われるテーマでもあり、古来より続く哲学の大命題でもあります。だからこそ、いまだに映画でも続編が製作されるのだろうと思います。

Blade Runner」の原題は、『Do Androids Dream of Electric Sheep?(アンドロイドは電気羊の夢を見るか?)』( 1968年)です。この際、原作をKindleで読もうと思います。