Music: Bruce Dickinson

Iron Maidenの『Senjutsu』が好調に売れているらしいです。全米アルバム・チャートにおいて史上最高位を記録。『戦術』は64,000枚の合算セールスで、全米アルバム・チャートで3位にランクイン。全米アルバム・チャートでトップ40入りを果たした15枚目のアルバムであり、トップ10入りを果たした4枚目のアルバムになります。

一方全英チャートでも、9月6日時点では、ドレイクの6枚目のアルバム『Certified Lover Boy』を8,000枚上回っているという。『Senjutsu』はCDとダウンロードのセールスでリードし、『Certified Lover Boy』はストリーミングが強く、最終的にどちらが1位を獲得するかは、まだわからないとのことです。

アイアン・メイデンはこれまで、『The Number Of The Beast』(1982年)、『Seventh Son Of A Seventh Son』(1988年)、『Fear Of The Dark』(1992年)、『The Final Frontier』(2010年)、前作『The Book Of Souls』(2015年)の5作で全英1位を獲得しています。

売れる売れないは、時代の風潮もあるので難しいところではあります。

今回改めて感じたのが、ブルース・ディッキンソンの声の魅力です。Spotifyでバラードを中心にセットリストを作成して聴いています。『Maiden England』という1988年発売のライブビデオを観て以来、彼のVoのファンになり、バンド脱退後のソロも聴いたりしていました。ブルースは、大御所ロニー・ジェイムス・ディオと比較されることも多く、とにかく声のレンジが広く、ライブでもファンの期待を裏切らないアグレッシブなパフォーマンスとクオリティの高い歌唱が定評となっています。インテリかつ多才な人でもあり、まさに枠に囚われない天才という感じです。

声を聴いているとやはり元気がもらえるのが魅力です。アイアン・メイデンの歌詞の内容は、わかりやすいものが目立ちますが、実際は、史実に基づくものや映画・小説からインスピレーションを得て、人間の心の闇にスポットをあてたものが多く、よくよく聴くととても味わい深いものばかりです。

ソロとアイアン・メイデン時代のものを聴き比べると、やはりアイアン・メイデン時代のものが圧倒的にいいと感じます。ブルースのボーカルだけならソロの方がバックが静かなだけに楽しめるのですが。

何度も聴くにはやはりバックの演奏との絡みがいかに大切かがわかりました。アイアン・メイデンは、2回あります。確か、Zepp大阪での「Brave New World Tour」(2000.10.25)と、松下IMPでの「Virtual XI World Tour」(1998.11.21)であったと思います。

ライヴでは、まるで大人数でラジオ体操しているような感じでした。彼らの曲が、起伏に富むのもありますが、静かに始まり、バックが盛り上がり、途中の間奏があり、またサビで大合唱して、間奏があって、また大合唱して、静かにフェードアウトしていくという起承転結があるので、こちらのエネルギーを十分に発散させてくれます。ずっと飛ばしっぱなしではないので、休むときは休めるのです。のせ方が上手いというのでしょうか。

ブルースのヴォーカルの魅力は、アイアンメイデンのバッキングによって支えられているのがわかります。屋台骨であるスティーブ・ハリスのベースとニコ・マクブレインのドラムによるものだと思います。独特のリフとリズムがあり、メイデン節と言えばそうなのですが、曲の途中で突然とも言えるくらいに、テンポとリズムの刻み方が変わります。別の曲と思うほどです。大袈裟に言うなら、クラブでDJが曲を繋ぐような感じです。それでもやっぱりメイデンは聴いていると心地が良いです。不思議な音楽です。

英国ロック特有の憂いを含んだ物悲しいメロディも日本人の琴線に触れるのかもしれません。島国同士何か共通するメンタリティがあるのでしょうか。ユーラシア大陸の西の端と東の端です。