タイトルは、「ハッブル宇宙望遠鏡、原始の恒星を発見」。
・129億光年の距離からの光がハッブル宇宙望遠鏡により観測された。この光は、ビッグバンにより宇宙が誕生してから9億年後に生まれた恒星から発せられた光であることが研究者らによって特定された。この恒星は、「明けの明星」を意味する古い英語「エアレンデル(Earendel)」と名付けられた。観測史上において地球から最も遠く離れた星であり、もっとも若い星でもある。
・エアレンデルの発見は、いくつか奇跡的な偶然が重なった結果である。通常、物体の距離が遠い場合、それを観察するには光が拡散してしまい、物体の観測は困難である。しかし、アインシュタインの一般相対性理論が示すように、この理論は、重力がいかにして宇宙を歪めるかを記述したのであるが、地球に近傍の巨大な銀河団の重力がレンズの役割を果たし、より遠くの星や銀河からの光を増幅させ、観測が可能となる。観測対象の物体の元来の明るさを、最大10倍まで拡大可能であると考えられている。
・時空間が歪められることで生じた波紋(さざ波)は、プールの水面に波紋を描くように、プールの底に輝点のパターンを作り出す。天文学者らは、その波紋のひとつに光の点が並ぶと、その輝きは千倍以上に拡大されることを発見した。重力レンズの効果によって拡大された銀河は、長い三日月状(Sunrise Arc)に歪んでいる。
・エアレンデルが、一個の惑星なら、太陽の50倍の重量であると計算される。2つ以上の惑星系の可能性もある。
・エアレンデルの観測は、後継機のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡に引き継がれる。より大きな反射鏡を持ち、光のスペクトラムデータより、対象の星の明るさや温度を観測できる。ビッグ・バンでは、質量の小さな元素、例えば水素やヘリウムのみが生じたとされる。したがって、若い惑星には重い元素(星の内部での核融合反応や死にかけの星の爆発により生じる)の濃度が低いことが予測される。すなわち、若い恒星ほど大きく、明るいというのが現在の仮説から導かれる。
キーワード
red shift 赤方偏移(せきほうへんい)
主に天文学において、遠方の天体から到来する電磁波の波長が、ドップラー効果によって長くなる(可視光で言うと赤くなる)現象をいう。また、重力赤方偏移(gravitational redshift)とは、重力場中の光の波長が長くなる現象である。(Wikipedia)Earendel エアレンデル
観測された恒星の中で最も遠く、最も原始的であると思われる恒星。トールキンの作品の登場人物にもあしらわれた、「明けの明星」または「昇りくる光」を意味する古英語にちなんで「エアレンデル(Earendel)」と呼ばれている。エアレンデルは地球の129億光年先にあり、ビッグバンからわずか9億年後の恒星で、初期の宇宙が暗黒時代から脱した直後の、最初の銀河が成長・進化してきた時代のものだ。これまでの最遠記録だった恒星「イカロス」のビッグバンから43億年後という数字と比べると、桁違いに古くて遠い。National Geographic
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