Study: A Moon-Like Rock Is Following Us in Space. New York Times. Intl. Weekly December 5, 2021

タイトルは、「地球近傍の準衛星、月の破片の可能性が示唆される」。

・米アリゾナ大学を中心とする研究チームは、2016年に発見された地球近傍小惑星の通称”Kamo`oalewa(カモ・オアレワ)"が、過去に地球の衛星である月から分離した破片の可能性があると発表した。

・この小惑星は大きさが50 m程度で、2016年にハワイのPan-STARR 1天体望遠鏡により確認され、ハワイにちなんで、”Kamo`oalewa(カモ・オアレワ)/469219"と呼ばれる。地球からの距離は、月までの距離の38倍、4000万kmである。100年ほど前より地球の軌道上を比較的安定して周回する準衛星とされる。今後、数世紀は地球を周回することが予測される。

・米アリゾナ大学のベン・シャーキー氏ら研究チームは、地球近傍の小惑星の組成に近いと予想した上でその成分分析の調査を開始した。しかし今年4月、カモ・オアレワの追加観測において、この小惑星の波長(スペクトル)が月の石の破片と類似していることがわかった。

・カモ・オアレワは、構成物質の観点では月の模型と言えるが、月と違う点は、月が地球の重力に支配される(公転する)のに対して、カモ・オアレワは太陽の重力に支配されている(公転している)。

・2017年、アリゾナ大学の大双眼望遠鏡(LBT)とローウェル・ディスカバリー望遠鏡(LDT)を用いたカモ・オアレワのスペクトル分析が実施された。ケイ酸塩と無機物から構成される点では、太陽系の他の岩石と共通していた。しかし、ケイ酸塩の占める割合の高さは月の表面の岩石に近いことが示された。このことから、起源が月の一部である仮説が提唱された。

・他にもカモ・オアレワの起源としては、たまたま組成の類似した小惑星がいまの軌道上に捕獲されたことや、地球と月の重力の影響を受け、小惑星から破片が分離し、捕獲されたことなどが仮説として挙げられる。

・地球近傍には、他に3つの準衛星があるのだが、それらの組成はカモ・オアレワに類似していることからがわかってきており、それらすべては、同じ化学反応の結果の産物であることを示唆すると考える研究者もいる。

・より詳細なデータ収集のためには、この準衛星の近くまで無人探査機を飛ばし、サンプルを採取することである。

 

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(469219) 2016 HO3 "Kamoʻoalewa" カモ・オアレワ
2016 HO3は、2016年に発見されたアポロ群に属する小惑星である。地球から見ると月のように周囲を公転しているように見える準衛星の一つである。(Wikipedia

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