Music: The Number of the Beast 40th anniversary with Beast Over Hammersmith / Iron Maiden (2022)

 

ヴォーカリストがポール・ディアノからブルース・ディッキンソンに交代してからの初のアルバム。1982年3月22日にリリース。このアルバムが発売されて40周年の記念版がLPでも出ました。記念版と抱き合わせの音源はライヴ・アルバム「Beast Over Hammersmith」で、1982年3月20日ロンドンのHammersmith Odeonでのライヴ音源を収録したものです。

ライヴ・アルバム「Beast Over Hammersmith」については、ヘヴィメタル黎明期〜最盛期の当たる時期で、メイデンの本拠地であるロンドンでもこれだけの熱気でライヴ演奏が行われていたのがビシバシと伝わってきます。ブルースをファンは受け止めてくれるかというバンドメンバーの不安をよそに、ハイテンションでブルースはガンガンに飛ばしていきます。

当時のメンバーの服装も革ジャンにジーンズと、典型的なメタルバンドの格好です。この格好ですが、ラモーンズがオリジナルなんでしょうか。時代を感じさせられますが、この服装は、多少はアレンジはあるものの、今の若い人でもこのスタイルを基調にしています。彼らは、レジェンドです。

ブルース・ディッキンソンの声にも若さと潤いがあってとても初々しいです。しかし、制御という意味では、ブルースもまだ荒削り感が否めませんが、有り余るエネルギーでライヴを盛り上げています。ブルースのルックスについては、なかなかいい意見を聞いたことがなく、ステージ上でのパフォーマンスも相まって、「ゴリラ」とか「サル」とかって嘲笑する意見もあり、まあそれも褒め言葉でしょう。しかし、彼はメタル界きってのインテリで、ロンドン大学クイーンメアリー校で歴史学を学んでおり、フィクション作家でもあります。あと、パイロットの免許を持って旅客機を操縦したりと、溢れんばかりの才能を発揮しておられます。

アイアン・メイデン(鋼鉄の処女)とは、中世の拷問器具から付けられたバンド名です。Torture(拷問、苦痛、苦悩)という意味でも、彼らの曲には何かしら、人間の不安や苦悩が描かれています。しかし、ライヴを見る限りでは、バンドメンバーもオーディエンスも一丸となって、集団で体操をしているかのごとく、明るく、エネルギッシュです。アルバム・ジャケットや歌詞だけのイメージとは裏腹です。この確信犯的な演出がどこかイギリス人らしくて、面白いです。どこまでがシリアスで、どこまでがコメディなのか、その遊戯に翻弄されながら彼らの音楽を楽しむのもまた一興です。

 


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