Study: Humans and Birds Share Similarities in Their Songs. New York Times. Intl. Weekly. June 18, 2023.

・鳥のさえずりは、ボブ・マーリーからモーツァルトまで、そしておそらくは狩猟採集民が最初にビートを刻んだ頃まで、音楽家たちにインスピレーションを与えてきた。

・人間の音楽家が鳥のさえずりに感じる親近感には強い科学的根拠があることを示す研究が増えつつある。科学者たちは、鳥類が私たちと同じように歌を学び、解釈し、作り出す能力について理解を深めている。

・人間と同じように、鳥類は互いに歌を学び合い、それを完成させるために練習する。また、人間の話し声が人間の音楽とは異なるように、鳥の鳴き声は、警告やその他の直接的なコミュニケーションの役割を果たすものであり、鳥のさえずりとは異なる。研究者たちは鳥のさえずりの機能についてまだ議論しているが、研究によれば、鳥のさえずりは構造的に私たち自身の音楽と似ている。

・では、鳥は音楽を奏でているのだろうか?それは何を意味するかによる。「と、ニューヨーク市立大学で鳥のさえずりを研究している動物学者で心理学者のオファー・チェルニコフスキ(Ofer Tchernichovski)は言う。音楽と単なる雑音の境界線をどこに引くかは恣意的なものだと、スコットランド王立音楽院の動物音響学者(zoomusicologist)で作曲家のエミリー・ドゥーリトルは言う。人間の赤ん坊の喃語と幼児の鼻歌の違いは、子鳥の餌を求める鳴き声と成熟した鳥のメロディーの練習の違いよりもはっきりしているように見えるかもしれない、と彼女は付け加えた。

・どこで線を引こうとも、鳥のさえずりと人間の歌には顕著な共通点がある。既存の研究は、ひとつの主要な結論を示している: 鳥のさえずりは人間の音楽のように構成されている。鳥のさえずりは、テンポ(速さ)、ピッチ(高さ、低さ)、トーン(音色)を変化させ、人間のメロディーに似た曲を歌う。鳥のさえずりを専門とする行動神経生物学者のティナ・ロウスケ(Tina Roeske)は、カデンツやテンションといった他の特徴も、鳥のさえずりと人間の音楽の両方で使われていると言う。

・お馴染みのペール・ギュントの『山の魔王の宮殿にて』という曲が、作曲の記譜法として知られているように、「アッチェレランド(accelerando)」と呼ばれる速度が徐々に増していくように、鳥のさえずりにも、ナイチンゲールのさえずりのように、速度が増していくものがある。

以前の研究では、シンタックス(音符の並び方)に焦点が当てられていたが、新しい研究では、音符のタイミングを分析することで、リズムも統合している。人間の音楽では、リズムはクイーンの「ウィ・ウィル・ロック・ユー」の冒頭のような一定の拍子と考えられることが多い。

・しかし鳥のさえずりでは、リズムは繰り返しの有無にかかわらず、音符のパターンを指す。人間には、鳥のさえずりは「ランダムな構造」を持っているように見えるかもしれない、とRoeske博士は言う。鳥のさえずりのスピードは人間の音楽の4倍にも達するため、そのリズムを「人間が把握し、理解するのは難しい」と博士は付け加えた。

・Roeske博士と共著者のTchernichovski博士は、鳥の音楽構造を研究し、鳥のさえずりのリズムが3つのカテゴリーに分類されることを発見した。一つ目は同時性(isochronous)で、音と音の間隔が等しい。二つ目は、オルタネーティング(alternating)で、ある音が前の音より長くなること。三つ目は、オーナメント(ornament/装飾音)で、オルタネーティングを誇張した音である。人間の音楽にもこのようなリズムパターンがある。