Books: 播磨の昆虫 / 相坂耕作(1988)

 

最近、昆虫の写真を撮るようになってきて、改めて地元の昆虫に興味を持っています。姫路市ではジャコウアゲハ保全たつの市では赤とんぼの保全に取り組んでいる団体もあるようで、ジャコウアゲハなら食草のウマノスズクサプランターを市街地に設置したり、赤とんぼなら、ヤゴが生育しやすい水田を管理したり、ビオトープを作ったりということもされているのでしょうか。将来、ジャコウアゲハや赤とんぼ(アキアカネ)がいなくなってしまった地元は想像したくないので、やはり保全活動や啓蒙活動というのは大切だと思います。そういった活動に少しでも参加できたらと思います。

昆虫の中でも、ベッコウトンボは、本書が発行された当初でも生息地が限られていたようですが、現在は兵庫県内では確認が報告されておらず、絶滅も危惧されています。

三木露風作詞の童謡「赤とんぼ」は、三木露風が結婚後、北海道のトラピスト修道院で夕焼け空を背に飛翔する赤とんぼを見て、自分が幼き頃に子守娘に負われて見た西の山の上に夕焼けを思い出したそうです。その赤とんぼの種は、アキアカネの可能性が高いと考察されています。

一度、神崎郡市川町の「虫送り」に参加したことがあります。虫送りというのは、主として田植えの時期に、村中総出でわら人形を作り、それを行列の中心に据えて、昼間なら鉦や太鼓をたたき、夜なら松明をかざして村中田んぼを回ります。最後に村境まで来ると、そこでわら人形を捨てたり、焼いたり、川に流したりする行事のことです。兵庫県下でも40例を越える実施例があるようです。神崎郡市川町でも、「実盛」と称するわら人形が登場していました。実盛わら人形は、イネにウンカという害虫が出始めた時、大勢の村人たちが実盛様のお弔いを唱えて、旗を立て鉦を叩いて田のぐるりを回り、村境まで行ってこの旗を焼き捨てれれます。なぜ平実盛かというと、源平合戦当時、平維盛の家臣の斎藤別当実盛が稲株につまずいて倒れたところを、手塚太郎に斬られ、実盛は「恨めしき稲株かな。わが霊、害虫となって日本中の稲を食い荒らさん」と叫び息耐えたことが起源と言われます。

平実盛は、かつて源氏側の木曽義仲が幼き頃に保護し、木曽に送り届けたといいます。保元の乱平治の乱では、源義朝につき活躍をしました。その後は、平家との結びつきを強くし、平家領である長井荘の荘官となったようです。源平の合戦(治承・寿永の乱)では、一貫して平家方につきます。ところが、篠原の戦いで、味方が落ちていく中ただ一騎踏みとどまり、幼い頃助けた木曽義仲軍に討たれます。黒髪に染めた実盛を見た義仲は、さめざめと泣いたと伝えられます。