イネの栽培

今日はイネを研究している研究室の先生にイネの種もみをいただきに行った.僕は農学部農学科出身なので,イネを育てるノウハウはしっかりと勉強したはずだが,今日は種の消毒のことで色々と悩んだ.僕がイネを育てることの目的は,実験材料の昆虫の産卵基質として,また餌として用いるためだ.だから殺虫剤は使用できないのは当たり前だが,種の消毒のために殺菌剤を用いるのはどうだろうかと迷った.結局,その殺菌剤の用途や影響などを調べて,昆虫類がリストになかったので,その殺菌剤を用いた.
僕は農学部で勉強してきたせいか,昆虫の研究=害虫管理=人間の利益という固定観念を持ってしまっていた.しかし,今の研究室に入ってから,昆虫のバイオロジーを知ることの大切さを感じるようになった.さらに生物は単体で生きているわけではなく,日長や温度といった物理的環境,また,蝶なら食草,捕食寄生者なら寄主昆虫といったように他の生物との関わり合いを調べることが本当に大切なんだと知った.
それにしても僕は高校生1年生の時期に農学部に進みたいと決心して,その時には分子生物学が世界の最先端だと勝手に思い込んでいた.しかし,現代生物学が,個体内部で起きる生命現象の解明を進めているのに対し,生態学は個体の繁殖・社会生態等にみられる様々な適応戦略を研究し,生物進化の解明を進めているのだ.自分の研究分野に誇りを持ちたい.