サルトル→レヴィ・ストロース

一時期僕の中で哲学者サルトルが熱かった時期がある.今でも十分好きなのだけど,今は良い部分と悪い部分が見えてしまった時期と言える.いいと思える部分は,人間を主体的に捉え,自らも主体的に社会活動を行ったところだ.戦後の混乱期に,各個人の自由を哲学的に考察し,尊重したところは,当時の世界に大きな影響を与えたと言われている.逆に悪いと思う部分は,本ばかり読んで,自然のありのままの姿に魅力を感じていなかったオタク的なところ.
一方で,レヴィ・ストロースの魅力としては,もちろん頭のいい人であることには間違いはないと思うが,スタンスがかなりナチュラルなところだ.サルトルの時代の「ヨーロッパが世界そのもの」から「ヨーロッパ以外の世界も含めた広い視点で地球を見る」と言った風潮への転換期であったのもあると思うが,レヴィ・ストロースは先陣を切るかのように,いわゆる「野蛮な未開地」と呼ばれる土地の文化について自分の足で歩いて調査を行ったところが,すごい.ある意味では,生態学者だ.そんな感じで多様性に着目したレヴィ・ストルースの思考の様式「構造主義」ももっと知りたいなと思っている.