東京物語 [DVD](1953年日本)

小津安二郎監督、笠智衆主演の1953年制作の日本映画です。もちろんモノクロです。小津安二郎の最高傑作とも言われ、海外でも高い評価を受けてきました。
自分の世代にとっては、父母が田舎から息子・娘の上京先に訪れるということは、自然なことだと思ってしまうのですが、この映画が製作された時分は、核家族化と高齢化社会の問題などを先取りした作品として見られたのですね。
この映画で描かれている家族、兄弟の様子は、自分が今まで見てきた様子ととてもよく似ています。家族、親子、兄弟の日常を描いた映画で、セリフも多いとはいえません。しかし、役者一人一人の動き、表情を、じっと見つめてみると、色んなことが語られているように思えました。
母とみが内科医の長男の孫と外に遊びに出たときに、「お前もお父さんのように、お医者さんになりたいのかい?」と尋ねるシーンがあります。しかし、孫は草をちぎったり投げたりして何も答えません。このシーン、何気ないけど、とてもいい味が出ていると思いました。この場面で、孫に、「おれも医者になりたいんだい!」と答えさせるように脚本を書けたのかもしれないですが、そうしなかったところがいいですね。
とみの葬儀が終わった後、長女の志げが京子に母の形見の品をよこすように催促するシーンが印象的でした。次女で尾道の故郷で両親と共に住みながら教師をしている京子は、姉の心変わりの早さに薄情さを感じます。
夫を戦争でなくし独りで東京で生活している紀子が
「結婚して、家庭を持つようになれば、誰だってみんな自分の生活が一番大事になるのよ」
と、京子をなだめます。




人気blogランキング「ジャズ&料理」(1クリック応援よろしく♪)
lalakooraのWishlist