吉村作治の新発見!エジプト展 〜国立カイロ博物館所蔵品と〜

京都駅伊勢丹の美術館「えき」で吉村作治のエジプト展を観て来ました。世界初公開の未盗掘木棺の「チャイの人型棺」、「セペクハトとセネトイトエスの箱型棺」は一見の価値ありです。僕はこういう古代文明の話が大好きです。
古代エジプトは、多神教崇拝であり、西方浄土の観念があったことなどから、死者の霊を敬う習慣は、日本と似ているところもあると解説されていました。多くの古代文明で見られる一種のアニミズムなのかなと思います。
しかし、ミイラを作るというのは、どうしてかなと思いますが、これにもちゃんとした考え方があります。古代エジプトの死後の世界については、エジプト神話において、人間は肉体、バー(Ba,云わば魂)、カー(Ka,云わば魄(はく))の3つの要素から成り立っていると考えられていたそうです。人が死ぬとバーは肉体から離れ冥界へ行くが、肉体がそのままであればカーがバーと肉体の仲立ちをして再び此岸に戻ってくることができるとされました。そのため肉体の保存が必要となり、ミイラ作りが盛んに行われました。ちなみにバーは、人間の頭をした鷹の姿で現されています。そして、バーが肉体に戻ってくる時に、元の宿り主を間違わないように、マスク(例えば、ツタンカーメンの黄金のマスクなどが有名)を作っておいたのだと言われています。
こういう遺跡などの研究は、スケールは非常に大きな話なのですが、会場で放映されていた吉村先生らのグループによるチャイの人型棺の発見の瞬間のVTRを観て思ったことは、新しい発見と言われるものも、何十年にもわたる地道なフィールドワークの賜物であることを忘れてはならないということです。何度も挫けそうになるかもしれませんが、信念が大切です。