Study: Meet Lucy, NASA's Deep-Space Robotic Archaeologist. New York Times. Intl. Weekly. October 31, 2021

タイトルは、「太陽系の進化の謎に迫る。NASAの深宇宙無人探査機ルーシー打ち上げ」。

NASAは、木星の軌道上にある小惑星群の調査のため無人探査機を打ち上げた。この小惑星群はトロヤ群小惑星と呼ばれ、太陽系内で最後の未調査の小惑星地帯である。今年の10月16日に打ち上げられたこの無人探査機は、ルーシーと名付けられ、深宇宙(太陽系外の宇宙空間)の考古学的な調査をする無人探査機である。太陽系の成り立ち、惑星の軌道の決定、地球の生命の誕生の謎に対する答えを探求する。

・6年間の巡航を経て、ルーシーはトロヤ群小惑星のうち7個の小惑星に接近する予定である。木星の公転軌道に滞在し、小惑星の表面の地質、構成物、密度、構造などを調査する。1世紀も前から天文学者らは、小惑星を発見するごとに、ホメロスの「イーリアス」の英雄の名前を一つずつ付与してきたが、10,000個近くある小惑星の数の多さから、「トロヤ群」と一括して呼ばれるようになった。

・ミッション名のルーシーは、320万年前の類人猿の化石に由来する。この化石が人類の進化の謎を解明する手がかりとなったことにちなんで、探査対象であるトロヤ群小惑星が太陽系初期の歴史を保存する「惑星形成の化石」であると考えられているからである。NASAの研究者は、エジプトのピラミッド研究を鑑みて、「太陽系の考古学研究」と呼ぶ。太古の建築物や埋蔵品からピラミッドの成り立ちを解明したように、小惑星より太陽系の成り立ちを解明することを目標に掲げている。

・太陽系形成は、30年前は比較的単純に考えられていた。すなわち、原始惑星円盤が形成され、徐々に物体が集合し、過密化する。それらが、塊となったのが太陽系の8個の惑星(当時は冥王星も含む)として、現在の各公転軌道に並んだと考えられていた。しかし、天王星海王星の公転軌道は、この理論では説明がつかなかった。

・この矛盾を解決する理論として誕生したのが、「ニース理論」である。この理論によれば、木星土星といった巨大惑星はかつて現在の公転軌道よりも太陽に近いところで形成されたが、初期の木星土星の公転軌道が乱れた結果、やがて遠い軌道へと移動していった。木星土星の軌道が広がったように、天皇星と海王星も外側へと移動したと考えられている。惑星の軌道が広がる際に、太陽系内の小さな惑星を捕獲した。彗星や小惑星が外太陽系に運ばれたり、天の川まで投げ出されたものもある。

・こうやって捕獲、運搬された彗星や小惑星の一部がトロヤ群小惑星にもなったと考えられている。したがってトロヤ群小惑星には、46億年前の太陽系の原始惑星円盤のチリやガスを含んでいることが期待される。

 

キーワード

Lucy ルーシー(探査機)
5つの木星トロヤ群小惑星を探査する計画、あるいはその計画における探査機の名称である。ルーシーは、M型小惑星プシケ探査計画のサイキと共に、2017年1月4日にNASAディスカバリー・プログラムに選定された。ミッション名は、有名な類人猿化石、ルーシーに由来する。これは、探査対象であるトロヤ群小惑星が太陽系初期の歴史を保存する「惑星形成の化石」であると考えられているからである。一方、類人猿化石のほうのルーシーは、ビートルズの楽曲「Lucy in the Sky with Diamonds」にちなんだものである。(Wikipedia

Trojan asteroid トロヤ群
惑星の公転軌道上の、太陽から見てその惑星に対して60度前方あるいは60度後方、すなわちラグランジュ点L4・L5付近を運動する小惑星のグループである。またこれにちなみ、L4・L5の両ラグランジュ点は特に「トロヤ点」と呼ばれる。(Wikipedia

Nice model ニースモデル
太陽系の力学的な進化を記述する理論モデルである。この理論モデルが提唱されたコート・ダジュール天文台が位置するフランス・ニースに因んでこの名で呼ばれている。また、英語の「ナイス」(良い) ともかけている。このモデルでは、原始惑星系円盤が散逸してしばらくしてから、初期はコンパクトな軌道配置にあった巨大惑星が現在の軌道に移動したことを提唱している。惑星の軌道が大きく移動したという点で、太陽系形成の従来のモデルとは異なっている。この惑星移動は、過去の太陽系で発生した現象を説明するためのシミュレーションで用いられている。例えば、内太陽系における後期重爆撃期、オールトの雲の形成、エッジワース・カイパーベルトの天体や海王星木星のトロヤ群、海王星の重力の影響下にある多数の共鳴外縁天体を含む太陽系小天体の存在の説明などである。(Wikipedia