マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する (NHK出版新書 569)
- 作者: 丸山俊一,NHK「欲望の時代の哲学」制作班
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2018/12/11
- メディア: 新書
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本書はNHKの特別番組のためにマルクス・ガブリエルへのインタビューで語られたことを元に、現代社会について新実在論という彼の思想の観点から考察する形式をとっています。ゆえに、新実在論って何?と厳密な定義を知ろうと思うと、著者の原著を当たる必要が出てくるでしょう。
結局、いろいろネットで調べても、新実在論のアウトラインのようなものは見えてこないです。少なくとも、実存主義、構造主義、ポスト構造主義の反省から始まり、それらを乗り越え、現代の社会に適用できる新しい考えを提唱しようとしているのはわかります。もしかすれば、この思想自体は、著者が厳密に定義するという従来のやり方ではなく、スタンスだけを提示して、概念をある程度SNSなどのWeb2.0形式で、自己創発させようとしているのかなとも思いました。それくらい、マルクス・ガブリエル関係の著作を読んでも、アウトラインがみえないのです。しかし、おそらく実存主義や構造主義と後々になって呼ばれる思想を、カミュが意識していたかというとそうではないでしょうし、いや、サルトルはあえてそれを利用したと思いますが、まだまだ今後もwatchが必要と思いました。