30歳になったら、田舎へ行こう。




menpeiさんのトークライブ、聴きにいってきました。そして、R系の友達2人とも久しぶりに会えました。いつもこうやって人と人とのつながりを大切にしてくれるmenpeiさんには感謝です。


■1.「若者は外へ、物は外から」
現代のいわゆる「田舎」の状態はというと、
・財政面については、地方交付税に依存度が非常に高く、自律的ではない。
・人口については、ほとんどが十代後半で都会に出てしまって、戻ってこない。
・物資の循環については、地域資源は活かされておらず、海外からの物資が都会を経由して、一方的に田舎へ流れてきている。


「若者は外へ、物は外から」というアンバランスな状態であることが説明されていました。
この田舎の問題は深刻だと感じました。これを解決しないと、日本の将来はないのではと思えるくらいでした。実際そうなんだと思います。


■2.「イノベーションは田舎から、自分から」
menpeiさんは、「持続可能な地域社会とはなにか」を命題とし、「イノベーションは田舎から、自分から」をモットーに、田舎生活で色んなことを実践し、モデルケースになるべく、それを発信されているのがわかりました。


なぜ「30歳で」なのかについては、江戸時代の兵学者・思想家である佐久間象山の言葉、「余、年二十以後、すなわち匹夫にして一国に繋ることあるを知る。三十以後、すなわち天下に繋ることあるを知る。四十以後、すなわち五世界に繋ることあるを知る」が紹介され、これを現代風に言い換えると、


「10代は学校や部活のことを考え、20代で社会のことを考え、30代で田舎のリーダーになり、40代で田舎のプロになる」


と解釈できると述べられていました。孔子の「吾、十五にして学に志し、三十にして立ち、四十にして惑わず ...」というのを思い出します。人間にとって、30歳というのは、変革(チェンジ)の時なのかもしれません。


■3.二つの壁「日常」と「仕事」
もちろん、「田舎はいい」と理想論を述べる感じではなく、都会からやってきた若者が直面する壁があることも説明されていました。その一つが、「日常」のことで、もう一つが「仕事」のことです。


日常については、基本的には自分ひとりでできないことが多く、例えば、農業なんてその典型で、村の人から機械は貸してもらい、作業の仕方も教えてもらいと、はじめは手取り足取りでないとできないことを実感したそうです。またスーパーも本屋さんも近くにないので不便は不便だそうですが、ないものねだりをしてもしかたがないと、ありのままを受け入れる懐の深さを感じました。「一人でできないなら、人とつながっていけばどうにかなる」と発想を転換することもできます。こういうポジティブさが、田舎暮らしには大切なのかもしれません。


仕事については、やはり一番のネックではないかと思いました。いきなり農業をやって失敗して、都会に戻らざるをえなかったという話も最近よく聞きます。自分だけが自給自足の生活でいいと思っていても、子どもができるとなかなか・・・どうなんでしょうか。田舎にも収入の安定した仕事があればと思います。これはやはり政策面での変革が必要でしょうか。しかし、これについても「ない、ない」と言っていても本当にないわけで、「何かしようと思えば、何かある」と発想を転換することができます。


■4.人とのつながり
「能動的に人とつながればなんとかなる」これは現代の社会に最もかけているスタンスだと思います。人間関係が希薄であり、食べ物でさえ、どこで誰が作ってどうやってここにきたのかというつながりもわからないようになっています。倫理学者鬼頭秀一さんの「切れた人間」「切り身の状態」という言葉が思い出されます。


■5.いかに地域資源を活かすか
地域資源を活かす方法として、岡山の風土の特徴である、森林の多さ、晴れ日の多さ(晴れの国)を活かすという意味で、森林バイオマス、堆肥などが挙げられていました。まだまだ可能性を秘めた土地であることは確かです。発想の転換が大切でしょう。


世界中を見渡してみると、イノベーションは地方から生じることが多いというのは興味深かったです。例えば、ドイツのアーヘン、スペインのソーラーオブリゲーションなど。


このお二人の様子を見て、田舎暮らしを始める若者が増えてくれればと思ったのが素直な感想です。


■6.「よそもの・わかもの・ばかもの」の大切さ
「ファーストペンギン」という言葉があります。危険な海に一番初めに飛び込むのはとても勇気がいることです。しかし、何をやっても注目されます。地域づくりが成功するには「よそもの・わかもの・ばかもの」が必要と言われるようです(あと「きれもの」も大切)。


■7.30歳の私は
では、自分はどうなのかといえば、難しい・・・。いま仕事でもオフでもやりたいことができている、あるいは、やるべきことが見えてきているという充実感があるためか、田舎へ行くきっかけが見つかりません。「いまここで自分ができることもたくさんある」と感じています。だからその課題に決着をつけるまでは、がんばっていきたいと思いました。


これは、「本当にやりたいことはどこかにあるはずと探しまわっても、結局どこにもない」という、たまねぎ論の応用になるでしょうか。「いまここでやらなければならないことから逃れても、どこへ行っても、その先でもきっと同じ壁にぶつかる」と逆説的に解釈もできると思います。


「30歳になったら、田舎へ行こう。」まさに自分のことなのですが、環境問題に対して、「いまここで自分ができそうなことがたくさん見つかりつつある」と感じているので、今は田舎へは行くことができません。これが、自問自答の結果です。でも、これは否定的に捉えているわけではありません。


menpeiさんから学ぶことは非常にたくさんあり、これからの人生でもたくさんの刺激をいただけると思っています。このように自分をみつめるきっかけを作っていただいただけでもありがたいと感じています。