Study: プラクリティ (prakṛiti)

ラクリティ (prakṛiti) 「根本原質」

ラクリティは、純質(sattva)、激質(rajas)、翳質(tamas)という3種類の性質(グナ guna)からなる。純質は明るさと軽さ、翳質は暗さと重さ、激質は刺激し活動的という性質である。純粋精神であるプルシャによる観照を原因として、3種のグナの均衡は失われ、現象世界が顕現することになる。プラクリティから生じる諸原理、すなわち理性(buddhi)、自我意識(ahamkara)、思惟器官(manas)という心理器官、声・色・味・触・香・皮膚という5種の微細要素(panca tanmatra)、眼・耳・鼻・舌・皮膚という5種の知覚器官(buddhindriya)、手・足・発声器官・肛門・性器という5種の行為器官(karmendriya)、虚空・風・火・水・地という五元素(panca mahabhuta)という23の諸原理は、外的な現象世界を構成する物質的要素も含まれているが、全体としては人間の心の働きと身体を構成する諸要素とみなすことができる。

岩波 哲学・思想事典. 1998. pp.1395r-1396l