Study: プラーナ (prāṇa)

プラーナ prāṇa 「気息」

微細身として最初に考えられたのは、<プラーナ>(prāṇa)である。プラーナは、宇宙を動かす風との相同によって風のようなものとして考えられた生命のエネルギー流体であり、人体においては呼吸として現れる。インド医学においては、これは3つの体液の1つとして特殊な機能を果たすものとして理解されているものである。しかし、ウパニシャッドにおいては、プラーナは視覚等の感覚機能・精液・心などと同一視されており、このエネルギー流体は、身体のあらゆる器官の働きを司る力と言える。

<ヨーガ>の修行においては、感覚機能及び心の呼吸法・瞑想法のすべてにおいて、プラーナを静止させ不動とすることによって、心の不動性を獲得しようとする。例えば、坐法は、身体の不動性によってプラーナの不動を得ることによって、心作用の抑制を実現しようとする行法である。

岩波 哲学・思想事典. 1998. pp.828-830