村上春樹さんが、レコードコレクターだというのは、よく知られておりますが、自宅に1万5000枚も所有されているというのですから、本人も言われる通り、「宿痾」の域なのかもしれません。ジャズ評の『ポートレイト・イン・ジャズ 』では、キース・ジャレットもジョン・コルトレーンも入っていないところがかっこいいところと言われていましたが、今回はブルックナーとワーグナーがないのは、「我が家に適当な古いレコードがなかったから」だそうです。
それにしても、音楽家でなくてもここまで聴き込むことができるのだと驚きです。感性が豊かなんでしょう。権威に屈することなく、自分の感じたままに書かれているところも親しみを覚えます。ケンプだからなんでもすごいとか、グールドだから邪道だとかという先入観がありません。ガイドブックを作ろうとしないところが、村上春樹さんらしいなと思いました。
Spotifyで本書で紹介されているアルバムを探し、セットリストを作成しました。まだ全ては網羅できておりません。