タイトルは、「天文学者により発見された星。銀河系で最も新しい惑星になる可能性あり」。
・150万年前に誕生した惑星が発見されたとの報告がAstrophysical Journal Lettersに投稿された。それは系外惑星としては、天文学史上最も若い惑星になるかもしれない。その惑星は、地球から395光年の距離にあり、へびつかい座の方角に位置する。この星は、AS209と名付けられた。
・研究者らは、チリ・アタカマ砂漠に建設された大型電波干渉計のALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)を使用した。惑星が誕生する際には、その周囲には「原始惑星系円盤」が形成されるあるのだが、ALMAは、高精度パラボラアンテナを合計66台を同時稼働させることにより、その電波を検出した。
・ALMAによる観測データから、いくつかの隙間があることがわかった。こうした隙間は、円盤の中で形成された惑星が周りの物質を取り込んだり弾き飛ばしたりすることで形成されると考えられる。隙間付近ではガスの速度も局所的に変化していることが発見されており、惑星によってガスがかき乱されたのだと解釈できる。
・アルマは、惑星の形成過程に特有の電波を検出しており、それは木星型惑星を取り囲むガスと類似しているのだが、そのことはAS209が成長途中であることを示す。惑星形成を研究する最良の方法は、惑星がまさに形成されている最中に観測することである。
・太陽系で最も遠い惑星である海王星は、太陽から約 45億km離れているが、この太陽系外惑星は、中心となる恒星から約 300億km離れている。地球や他の惑星を形成した破片の円盤のサイズは不明であるが、 破片の円盤はおそらく海王星の軌道よりわずかに大きい。それが海王星が太陽系で最も外側を公転している理由でもある。
・今後は、James Webb宇宙望遠鏡により、AS209の質量や大気の化学組成を調査する予定である。
Keywords
Ophiuchus へびつかい座
トレミーの48星座の1つ。黄道上に位置している星座だが、黄道十二星座には含まれない。δ星、ν星でへび座を頭部と尾部に分割する。(Wikipedia)Atacama Large Millimeter/submillimeter Array (ALMA) アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計
チリ・アタカマ砂漠に建設された大型電波干渉計である。口径12mのアンテナ50台と、日本製のアンテナ16台からなる望遠鏡システム「アタカマコンパクトアレイ(ACA、別名「モリタアレイ」)の合計66台からなる。ミリ波・サブミリ波領域では世界最大の基線長を誇り、分解能・感度ともに世界一となる。ALMA望遠鏡は、16.5kmの範囲に66台のアンテナを配置する。ACAは16台のアンテナをコンパクトに配置し、分解能は低いものの広がった天体構造を高い感度で観測する。一方で50台のアンテナで構成される干渉計は広がった天体構造に対する感度はないが、細かい構造を高分解能で観測する。両者のデータをフーリエ空間上で画像合成することにより、高い感度・高い分解能の双方を備えた信頼性の高い観測結果を得ることができる。(Wikipedia)Circumstellar 原始惑星系円盤あるいは塵の円盤
恒星が誕生する際には塵やガスが円盤状に集まって、恒星の周囲を取り囲む原始惑星系円盤が形成される。この円盤内では惑星が誕生するが、その惑星の周りにも円盤、すなわち周惑星円盤があると考えられる。周惑星円盤は衛星の元となるだけでなく、中心の惑星の成長をも左右する存在だ。だが原始惑星系円盤に比べて小さな周惑星円盤を観測するのは難しく、確認できたものはまだ2例しかない。どちらもアルマ望遠鏡による観測だ。(AstroArts)円盤内の隙間やリング構造は、地球サイズの岩石惑星がどのようにして作られ、成長していくのかという謎に迫るヒントにもなります。これまでの理論では、塵が合体して数センチメートルくらいになると、周囲のガスとの摩擦によって公転の勢いが失われ、中心の星に落下してしまうという問題が指摘されていました。これでは、地球のようなサイズの惑星を作ることはできません。一方で、今回のアルマ望遠鏡による観測で見えてきた高密度の塵のリングは、塵が長期間安定して成長できる場所かもしれないのです。(ALMA)