Study:  Why Uranus Looks Blue, And Neptune Is Even Bluer.  New York Times. Intl. Weekly. June 19, 2022

タイトルは、「なぜ天王星は青いのか?なぜ海王星はもっと青いのか?」。

・太陽系の最も外側の惑星、天王星(Uranus)と海王星(Neptune)は、ともにガスを主体として構成される惑星であり、大気を構成する化学物質も類似している。質量においても大差なく、天王星は地球の15倍、海王星は17倍である。サイズは、天王星が地球の4倍、海王星はそれよりやや大きい。

・しかしながら、大気の構成やサイズは似ているが、外見は明らかに異なる。可視光線で見ると海王星は濃い青で、天王星は薄い青色である。

・1986年にボイジャー2号天王星に接近し、その薄い青色の大気が確認された。1989年にはボイジャー2号海王星に接近した時、濃い青色の大気が確認され、大暗斑と呼ばれる模様が存在が見つかり、非常にダイナミックな暴風構造も観測された。

・イギリスのオックスフォード大学のPatrick Irwin博士たちの研究チームが明らかにしたところによれば、その差は両惑星に存在する「Haze(もや)」の層に由来する。両惑星が青く見えるのは、大気層を占めるメタンが太陽光の赤色の波長を吸収するためである。しかし、海王星では”メタンもや”の中間層が、天王星のそれの2倍の厚さである。これが見た目の違い(青色の濃さ)に関係している。すなわち、”メタンもや”が厚いほど、可視的にはより白く見える。

・なぜ、天王星の方が、”メタンもや”が厚くなったかについては、共著者のLeigh Fletcher博士によれば、巨大な隕石の衝突の結果であると仮説を提唱している。非常に大規模な衝突により、惑星内部のエネルギーと熱量が外部に放出した可能性があるとしている。

・研究チームのモデルによれば、両惑星では絶えず”もや”を除去する作用が働いている。”もや”の最下層ではメタンが凍って雪になる環境で、”メタン雪”と一緒に”もや”も一緒に引きずり下ろされる。下層の方は暖かいため、メタンは再び気化して上昇する。海王星では、”メタン雪”の降雪量が多く、大気の動きが活発なので、メタンがかき混ぜられて上へ戻されやすい。よって、”もや”も除去されやすく、中間のエアロゾル層が薄くなり、結果としてより薄い”もや”の層になる。すなわち、海王星の方が天王星よりも”もや”が薄くなり、青色が濃く見える。言い換えれば、天王星は、待機の入れ替わりが穏やかであるために、”もや”が除去されにくく、もや層が厚くなり、青色が濃く見える。

天王星の方が、大気の動きが穏やかである理由として、過去に外部から何らかの物体の衝突があったことが関係している可能性があることを、アリゾナ大学の惑星科学者Erich Karkoschaka博士は提唱している。両惑星の大気の活性の違いに反映されるほど、両惑星の世界は物理的な異なっている可能性がある。

海王星の大暗斑、すなわち暗斑は、硫化水素の氷の蒸発により、”もや”の粒子に影ができることで、出現している可能性が考えられるが、この起源を解明するのに役立つことが期待される。

 

キーワード
Great Dark Spot 大暗斑
海王星において見られた暗い楕円形の部分である。木星の大赤斑と類似しているが、これは力学的な渦ではなく、地球のオゾンホールのような大気成分の薄い場所であったと考えられている。(Wikipedia
Giant-impact hypothesis ジャイアント・インパクト説
地球の衛星である月がどのように形成されたかを説明する学説。巨大衝突説とも呼ばれる。この説においては、月は原始地球と火星ほどの大きさの天体が激突した結果形成されたとされ、この衝突はジャイアント・インパクト(Giant Impact、大衝突)と呼ばれる。また、英語ではBig Splash や Theia Impact 、日本の一部では、ファースト・インパクトと呼ばれることもある。原始地球に激突したとされる仮想の天体はテイア (Theia) 又は黒き月(Black moon)と呼ばれることもある。(Wikipedia