Books:  いのちのことば / 柳澤桂子(2006)

 

母が読みたいというので、プレゼントしました。

2021年10月25日(月)のTBSの番組「西本願寺音舞台 『工藤静香Cocomiら…奇跡の競演◆旅人・比嘉愛未が朗読』で、比嘉さんが生命科学者・柳澤桂子氏の著書「いのちのことば」を朗読したことで、再び、興味を持つ人が増えたようです。以前にも2005年のNHKの「ハイビジョン特集 いのちで読む般若心経 生命科学者 柳澤桂子」を観たことがあります。私も、2005年の番組をきっかけに、般若心経に興味を持った記憶があります。

病気の激しい苦痛の中で、私の感受性は次第に研ぎ澄まされ、

自然の変化への感動を深めていく。その感情は祈りにも似て、

私自身を自然の中に深く溶け込ませていった。

やがて、私は宇宙の鼓動を感じるようになる。

宇宙のリズムにあわせて、自然の中に自分を浮遊させているときに、

苦痛が安らぐのを感じた。

仏教やヒンドゥ教の教えにも通じる言葉が本書には書き記されています。

生きものとしての私たちを考えると、

「生きる価値のない生」というものはないと思います。

ある頻度で遺伝的に障害をもった子供は生まれてきますが、

そうした多様性が維持されるシステムこそが

遺伝子の本質なのです。

価値がある/ないというのは、人間の恣意的な判断に過ぎず、益虫/害虫、発酵/腐敗の線引きにも似ています。そもそも価値のある生も価値のない生もないはずです。

多様性こそが生物の強みであり、人間が恣意的に犯してはならない領域と思います。

生物学者柳澤桂子氏の詩的であり、霊的な言葉は、人間のエゴを指摘しているだけではなく、個人の考えを超えて、ずっと深淵なものを見つめているように思います。

実家の本棚には、以前に購入した「生きて死ぬ智慧」がありました。あのころは、色々勉強していたんだなと今さら思います。そういう時期が人生にあってよかったです。