Study:  Expected Another Busy Year of Spaceflights and Spectacles. New York Times Intl. Weekly January 16, 2022.

タイトルは、「今年も宇宙飛行とスペクタクルが盛りだくさん」。

・大型ロケットの打ち上げ
NASAは、有人月面探査計画「アルテミス」の準備を進めている。宇宙飛行士が地球と月周辺を往復するために搭乗するオリオン宇宙船や、オリオン宇宙船などの打ち上げに使われる新型ロケット「SLS(スペースローンチシステム)」の開発も大詰めを迎えている。NASAは今年3月〜4月にオリオン宇宙船とSLSの無人テスト飛行「アルテミス1」ミッションの実施を目指している。
一方、打ち上げが成功すれば、人類史上最大のロケットとなる約120メートルの「スターシップ」は、再利用可能で低コストの大型ロケットであり、米国航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士を月へと運ぶために作られている。スペースXの最高経営責任者(CEO)イーロン・マスクは、将来的には、火星に人類を移住させるためにスターシップを利用したいと考えている。

 

・月面無人探査機の打ち上げ
Rocket LabによるCAPSTONEの打ち上げが今年3月に予定されている。月周回軌道上に置かれる開発中の宇宙ステーション「月ゲートウェイ」は、通信機能の拠点、科学実験室、宇宙飛行士の短期滞在用の居住棟などとして機能する。NASAのアルテミス計画ないしは将来建設予定のNASAとヨーロッパの月面基地にとって重要な役割を果たす予定となっている。
インドは2019年に着陸に失敗した無人探査機の月面着陸を今年の夏に再挑戦する予定である。ロシアは1976年以来の無人月面探査の再開を計画している。韓国は今年8月にSpaceXの打ち上げ予定である。日本はアラブ首長国連邦の月面ローバーなど様々な荷物を輸送する貨物宇宙船の打ち上げを計画している。

 

・中国の宇宙ステーション
中国独自の宇宙ステーションの基幹となる施設「天宮(Tiangon)号宇宙ステーション」の建設を年内に完了させる予定である。三つのモジュールで設計されており、天和コアモジュールはすでに2021年4月に打ち上げられており、2つ目の実験モジュール「問天(Wentian)」は今年半ばに、最後の実験モジュール「夢天(Mengtian)」実験は今年の後半に打ち上げられることが予想される。

 

・彗星との衝突実験
ダートとは、「Double Asteroid Redirection Test(二重小惑星進路変更実験)」の略で、地球の脅威となるような小惑星や彗星といった天体の衝突に備えるための実験検証を行う初のミッションである。探査機は2022年9月に、直径約780mの小惑星「ディディモス((65803) Didymos)」の衛星「ディモルフォス(Dimorphos)」(直径約160m)に秒速約6kmで衝突する。

 

キーワード
Artemis program アルテミス計画
アメリカ合衆国政府が出資する有人宇宙飛行(月面着陸)計画である。当初計画では2024年までに「最初の女性を、次の男性を」月面(特に南極付近)に着陸させることを目標としている。計画名と計画の詳細は2019年5月に発表された。なお、アルテミスはギリシア神話に登場する月の女神で、アポロ計画の由来となった太陽神アポロンとは双子とされる。(Wikipedia


Starship スターシップ
スターシップは現在、テキサス州の「スターベース(Starbase)」という場所で建造中だ。「スーパー・ヘビー(Super Heavy)」という大型ブースターの上に巨大な宇宙船が乗っている。どちらも地球に着陸して再利用が可能なため、コストを抑えることができる。通常の低コストミッションでは、機体全体で100トン(22万ポンド)の重さの貨物と人を宇宙へと運べる。スターシップ内で使用可能なスペースは1000立方メートルもあり、解体すればエッフェル塔全体が入ってしまうほどに大きい。このことが科学者を興奮させているのだ。(MIT

 

Chandrayaan-2 インドの月面探査機チャンドラヤーン2号
米航空宇宙局(NASA)は2日、月の軌道を周回しているNASAの衛星が、9月の月面着陸直前に通信を絶ったインドの月面探査機チャンドラヤーン2号(Chandrayaan-2)の着陸船ビクラム(Vikram)を発見したと明らかにした。(AFP

 

Tiangong Space Station宮号宇宙ステーション
中国が天宮計画で建設中の宇宙ステーションである。三つのモジュールで設計されており、総質量は80トンに達すると予想されている。天和コアモジュールは2021年4月に打ち上げられ、その他各モジュールは2022年後半の打ち上げ開始が予定されている。(Wikipedia

 

Double Asteroid Redirection Test (DART)二重小惑星進路変更実験
地球の脅威となるような小惑星や彗星といった天体の衝突に備えるための実験検証を行うミッション。