タイトルは、「金星の新しい見方」。
・NASAのパーカー・ソーラー無人探査機の観測装置(WISPR)により、金星の夜側の分厚い雲を通過した赤外光が観測された。
・金星表面の平均温度は460℃もあり、硫酸の分厚い雲に覆われた未知の惑星であるのだが、WISPRの画像では、火山の多い低地は明るく、アフロディーテ大陸などの高地は暗く写っており、高地は低地よりも45℃程度気温が低いことが示された。
・鉱物はその構成元素により異なる波長の光を発する。日本無人探査機「アカツキ」や欧州の無人探査機「Venus Express」は、より長い赤外域の波長の画像を取得している。WISPRをはじめいくつかの赤外域の波長データを重ね合わせることで、金星の地表の鉱物の特定につながることが期待される。
・パーカー・ソーラー無人探査機が金星の夜側を撮影できる次の機会は、2024年11月の7回目にして最後の金星スイングバイになる見込みである。
キーワード
Parker Solar Probe パーカー・ソーラー・プローブ
太陽の外部コロナの直接観測を計画している宇宙探査機である。太陽表面から8.86太陽半径(0.04天文単位、590万キロメートル)への到達が計画されている。(Wikipedia)WISPR(Wide-field Imager for Parker Solar Probe)
太陽コロナや内部太陽圏を観測するために開発された観測装置。第9回太陽フライバイ(2021年8月)時の画像をもとに作成された動画には、「ストリーマー(流線)」と呼ばれる太陽コロナの構造が幾つも捉えられた。(Sorae)Swing-by スイングバイ(かすめ飛行)
天体の運動と万有引力(以下重力とする)を利用し、宇宙機の運動ベクトルを変更する技術。天体重力推進(英: gravity assist)とも呼ばれる。(Wikipedia)Flyby フライバイ
通常は宇宙開発の目的地であったり別の目的地に向けたスイングバイの拠り所である宇宙機が他の天体に向けて近接して通過する宇宙飛行である。(Wikipedia)Aphrodite Terra アフロディーテ大陸
アフロディーテ大陸は金星の最大の大陸であり、直径10,000km、高さ3,000mと面積は地球のアフリカ大陸とほぼ同じである。表面は非常にでこぼこしており、褶曲、断層と溶岩流の数が多く、一部の溶岩流も特殊な蝶ネクタイ状特徴を形成され、これは大きな圧縮応力を受けていることを示唆している。(Wikipedia)