モンシロチョウの累代飼育




仕事でモンシロチョウの飼育を始めました。11月にキャベツ畑で雌成虫を捕獲し、採卵しました。孵化した幼虫個体群の一部は実験に用いて、一部は累代用に飼育を継続させ、現在次々と成虫が羽化しています。80cm×100cm×50cmの飼育ケースに放飼して、上から蛍光灯で照らしています(長日条件,温度20℃〜25℃)。成虫の蜜源は、ポット植のストックの花、産卵する寄主植物はカイワレダイコンです。この狭い空間内でも交尾をし、産卵している様子なので、累代飼育もうまくいきそうな気がしてきました。


チョウを飼育していると、改めて完全変態昆虫の不思議さを感じました。学術的にも面白いのですが、一度頭をリセットして素人目に観てみると、さっきまでキャベツの葉にへばりついていたアオムシが、蛹という静的な期間を経て、今は羽を広げて(ほぼ)自由に飛び回っています。羽化したての成虫は、もちろん大人なはずですが、どこか生まれたての赤ちゃんのような無垢さが感じられます。同じ個体なはずなのに、この幼虫期と成虫期の自由度の違いはなんだろうかと思います。もちろん、成虫も自由とはいえ、繁殖行動に必死ですから、ある意味では制限はあるといえばあります。


羽を広げ、自由に飛び回っている姿が美しいと感じるのは、静的な幼虫期や蛹期とのギャップがあるからかもしれません。ヒトの一生にも蛹のような時期があり、その時期は色々と基礎作りをする、飛躍のための準備という意味でも大切なのかもしれないと思いました。