華麗なるギャッツビー(1974年)

華麗なるギャツビー [DVD]


F・スコット・フィッツジェラルドの小説『グレート・ギャツビー』の映画化作品。村上春樹が最も影響を受けた作品の一つに挙げているのですが、その理由がわかるようなわからないような感じです。サガンの『悲しみよこんにちは』に似ている部分もあります。どの登場人物も地に足がつかないまま、過去の栄光と現在の享楽に浸っています。この小説に特徴的な点は、主人公ジェイ・ギャツビーは明るい未来を信じ続けていたということです。浮かれた社交パーティのホストでありながら、その中身は実直で堅実そのものでした。個々の人物は特に何かふざけているわけではないのですが、その関係性をみるとコメディをやっているかのようなぎこちなさが生じています。特に、ギャッツビーと彼の希望の灯火であったデイジー・ブキャナンとの関係は何とも言えないものがあります。泣けるるわけでもなく、笑えるわけでもない、フレームから外れた作品です。