お薦め映画:『おおかみこどもの雨と雪』

おおかみこどもの雨と雪(本編1枚+特典ディスクDVD1枚)


おおかみこどもの雨と雪』をDVDで鑑賞しました。2012年7月に公開されたアニメ映画です。


http://www.youtube.com/watch?v=pcQu0TD-npA


アニメ映画は、もともとあまり好きではないのですが、友達の勧めもあってなんとなく見始めました。見終わった後は、本当に見てよかったと思いました。いろんなことを考えさせられる映画です。


とりわけ、ぼくは、主人公で母親の花(はな)の物事に対する姿勢にとても惹かれました。知らないもの、得体の知れないもの、人知の及ばないもの、普通とは違っているものに対して、「受け入れる」姿勢があるように思うのです。決して、許容力があるとか、理解力があるというものではないのですが、自分なりに対象と交わっていくというか、適応していくというか、打ち解けていくというか、異物としては認識していない様子なんです。


なんだかその姿勢に、日本の伝統的な女性像をみました。地震や台風といった天災の多い日本では、どこかで我慢するとか、それはそういうものだとして受け入れるような精神がある(あった)ように思います。


二人のおおかみこどもにも、いろんなメッセージがこめられていたように思います。個人的には、「外国人あるいは帰国子女」あるいは「何らかの理由で日常生活に困難を感じている人」というようにもみてとれると思いました。彼らも成長の段階で、それぞれに自分自身のアイデンティティが確立するにつれ、相当に悩み苦しみます。


時代とともに、人間が自分たちの力でなんでもできるようになってきていますし、今後もどんどんそういう傾向が進むと思います。それはとても素晴らしいことですし、人間の技術や知性・知能によってより多くの人により多くの幸せがもたらされるようにもなるかもしれません。しかし、ただ思うのは、まだまだよくわからないこともたくさんあるし、人間の力ではまだどうにもならないこともたくさんあるわけで、そんなに先走ってはいけないなと思ったりもします。


また、人間関係の中での個人のアイデンティティの確立に関しては、技術の発達とはまた違った次元にあるように思いますし、善悪の判断ということに関しては、昔からかなり議論されてきていますが、これといった正解がみつかっているわけではないです。


相手に答えを求めすぎず、変化を求めすぎずに、そっとその対象のそばで見守ってあがられるような姿勢も時には重要なのではと思いました。おそらく、自然環境や野生動物に対する人間の姿勢にも、同じようなことが言えるだろうと思っています。


技術の発展と同時に、自然への感性も持ち合わせていきたいです。


はりま里山研究所企画「サイエンスコラム」
http://www.satoyama-lab.org/home/Column.html