Study: アヴァターラ (avatāra)

アヴァターラ (avatāra)「化身」

化身の原語アヴァターラ(avatāra)とは「降下」を意味する。この化身思想で最も有名なものはヴィシュヌ神の場合であるが、その思想の萌芽はヴェーダ諸文献に見出され、『マハーバーラタ』『ラーマーヤナ』の二大叙事詩において発展し、さらにプラーナ諸聖典において一般化した。ヴィシュヌ教、特にバーガヴァタ派の聖典とされる『バーガヴァタ・プラーナ』には以下の10種の化身が挙げられている。即ち、魚(マツヤ)、亀(クールマ)、野猪(ヴァラーハ)、人獅子(ヌリシンハ)、朱儒(ヴァーマナ)、斧を手にするラーマ(パラシュ・ラーマ)、ラーマ(ラーマ・ダーシャラティ)、クリシュナ、ブッダ、カルキンである。

岩波 哲学・思想事典. 1998. p.431r-432l