Study: ヨーガ (yoga)

ヨーガ (yoga)

広義には、瞑想や苦行などのインドの伝統的な心身統一のテクニックの総称で、狭義には、古代インドの六派哲学のヨーガ学(派)に始まる解脱を目的とする実践哲学体系を指す。

ヨーガの語は<馬に軛をかける>を原義とする動詞yujから派生した名詞。

古来から<タパス>(tapas. 神秘的熱)と呼称される苦行の伝統がある。ヨーガは内的な精神統一を本質とし、超能力による現世利益を目的とする苦行とは明確に区別されている。

非正統的な文化圏に起源をもつとされるヨーガが、バラモン教の<祭式の内面化>の過程で精神統一法として次第に正統内部に採用され、最終的には『ヨーガ・スートラ』(2-4世紀頃)に準拠するヨーガ学(派)により解脱への実践論として体系化された。これは<八階梯のヨーガ>などの観想法を中心としたヨーガで、<ラージャ(王)・ヨーガ>と言われる。12,3世紀になると、この静のヨーガに対して動のヨーガとも言うべき新体系がタントラ的身体観に基づき形成された。至難な坐法(アーサナ)や呼吸法(プラーナヤーマ)や印契(ムドラー)を重視し、超能力を開発し、三昧を追求する<ハタ(力)・ヨーガ>である。今日世界中で実践されているのは主として後者である。

 

ヨーガ・スートラ (Yogasutra)

インドの六派哲学のヨーガ学(派)の根本教典で、その開祖ともされるパタンジャリの著。中心的な行法は<八階梯のヨーガ>(アシュターンガ・ヨーガashtanga yoga, ラージャ(王)・ヨーガ)である。

1. 禁戒(ヤマYama)

2. 勧戒(ニヤマNiyama)

3. 坐法(アーサナAsana)

4. 調息(プラーナヤーマPranayama)

5. 制感(プラティヤーハーラPratyahara)

6. 凝念(ダーラナーDharana)

7. 静慮(ディヤーナDhyana)

8. 三昧(サマーディSamadhi)

 

岩波 哲学・思想事典. 1998. pp.1635r-1637l