Study: クリヤ(kriya)

クリヤ, カルマ (kriya, karman)「行為」

 人格神崇拝が紀元後急速に発展し、ヴェーダーンタ派の中で「最高存在ブラフマンとは自己の本質(アートマン)に他ならない」とする不二一元論派も、現象界では神が行為者に行為の果報を恵みあたえると認めた。ヒンドゥー教の代表的聖典『バガヴァッド・ギーター』は、最高神ヴィシュヌへの帰依に専心して結果の如何にこだわらず己の義務を遂行すべしと強調する。この行為論は、階級格差による社会秩序を肯定するが、他面では、心統一して一切の中に神を見いだすことによって利己心を克服する平等観を説く。

岩波 哲学・思想事典. 1998. p.482